2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第2弾)

 年が明けて、3歳クラシックの初戦となる桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)まで、早くも3カ月を切った。

 その行方を占う2歳牝馬の「女王決定戦」阪神ジュベナイルフィリーズ(2015年12月13日/阪神・芝1600m)は、昨年末に行なわれ、1番人気に推されたメジャーエンブレム(父ダイワメジャー)が見事快勝した。この結果を受けて、同馬は2015年JRA賞の『最優秀2歳牝馬』を満場一致で受賞。同時に、今年の3歳牝馬クラシックの最有力候補となった。

 そして、今回発表する『Sportivaオリジナル番付(※)』の3歳牝馬ランキング第2弾でも、そうした状況が色濃く反映され、第1弾から大きく変動した。年明けに開催された3歳重賞の、シンザン記念(1月10日/京都・芝1600m)や、フェアリーS(1月11日/中山・芝1600m)の結果も踏まえての同ランキングは、以下のとおり。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、メジャーエンブレム。阪神JFを圧勝して、完全に頭ひとつ抜けた存在となった。JRA賞と同じく、こちらも満場一致で1位の評価を得た。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「アルテミスS(2015年10月31日/東京・芝1600m)では、レース前半での力みが課題として浮き彫りになったものの、大一番の阪神JFではしっかりとその課題を克服。引っかかる馬に外から絡まれながらも、自分のペースを守って危なげない勝利を飾りました。懸念された長距離輸送も難なくクリア。未対戦の馬にはチャンスが残されていると思いますが、一度戦った馬たちに逆転を許すことはないでしょう」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「阪神JFは、鞍上のルメール騎手が自信を持って騎乗し、早め先頭からあっさり快勝。力の違いを見せつけました。さらに驚いたのは、レース後。まったく息が切れていなかったことです。格の違いを感じましたね。唯一の弱点というか、不安点を挙げるとすれば、切れ味勝負となったときでしょうか」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「阪神JFでは、その能力を遺憾なく発揮。2着に2馬身差をつけて、現状この世代では一枚上と見ていいのではないでしょうか。問題は、かかる気性。レースでは自ら先陣を切ってペースを上げていかないと、スローの上がり勝負になると厳しいと思います。ただ、そのあたりのことは、今後もレースを熟知したルメール騎手が乗り続ける限り、問題ないでしょう。少なくとも、桜花賞までは中心的な存在と見ていいと思います」

 2位は、年明け最初の3歳重賞、GIIIシンザン記念で2着となったジュエラー(父ヴィクトワールピサ)。前回はランク外どころか、名前さえ挙がらなかった存在だが、いきなり2位にランクインした。

木南氏
「シンザン記念は、内の馬が残る馬場状態の中、外から一頭だけ豪快に伸びてきました。スケールの大きさを証明した2着でした。そもそも新馬戦(2015年11月29日/京都・芝1800m)では、先日500万条件の特別レースを完勝したロイカバード(牡3歳/父ディープインパクト)が勝った同日の未勝利戦よりも、1秒5速い走破タイムをマーク。上がりの切れ味も互角に感じました。2戦目、それも重賞で結果を出したのですから、これはもう本物でしょう」

吉田氏
「新種牡馬ヴィクトワールピサの産駒ですが、走る走法や馬体面、つなぎのクッション性などからは、母系の血が色濃く出ている印象があります。半姉のワンカラット(父ファルブラヴ。フィリーズレビューなど重賞4勝)をはじめ、兄姉は皆、ツボにはまればすごい爆発力を見せてきました。ジュエラーも、その血をしっかり継承していますね。折り合い面に不安はなく、一見距離が伸びても問題ないように思えますが、走法と一瞬の爆発力を生かすには、マイルぐらいまでの距離が合っているのではないでしょうか」

本誌競馬班
「シンザン記念で牡馬相手に2着と健闘。強烈な末脚がひと際光っていました。ダイワスカーレット(2007年2着)やジェンティルドンナ(2012年1着)など、過去にシンザン記念で好走した牝馬はその後出世していることもあって、同馬に対する期待が膨らみます」

 3位は同ポイントで、アットザシーサイド(父キングカメハメハ)と、ウインファビラス(父ステイゴールド)。ともに阪神JFに出走し、アットザシーサイドは5着、ウインファビラスは2着という成績だった。

土屋真光氏(フリーライター)
「アットザシーサイドは、デビューから2連勝を飾ったものの、2戦目では10kgも馬体重を減らしていました。そこから間隔が詰まった状態で挑んだ阪神JFでは、さらに4kgの馬体減。しかも、距離延長、GIの舞台と、ハードルがかなり高くなっていました。それでも、後方から伸びて5着。上々の結果と言えるでしょう。単なる短距離馬でなければ、クラシックでも勝負できるはずです」

木南氏
「アットザシーサイドにとって、阪神JFは初のマイル戦。なおかつ、押せ押せのローテーションで、時計のかかる馬場と、厳しい条件が重なりました。そうした中で、5着に来たことは評価できます。デビュー2戦で見せた切れ味は非凡なものを感じさせてくれましたし、キングカメハメハ産駒で年が明けてからの成長にも期待が持てます」

市丸氏
「ウインファビラスは、包まれて動けなかったアルテミスSでは5着と惜敗。そこから挽回して、阪神JFでは2着と好走しました。現時点では、メジャーエンブレムとの能力差を感じますが、今後の成長次第では逆転も考えられます」

本誌競馬班
「新潟2歳S(2015年8月30日/新潟・芝1600m)でも2着と好走していたウインファビラス。阪神JFでは、それがフロックでないことを証明したと思います。重賞で2度の2着は力がある証拠でしょう」

 5位は、前回2位だったデンコウアンジュ。2番人気で臨んだ阪神JFで7着に敗れて、ランキングを落とした。

土屋氏
「淡々と流れて、最後の切れ味勝負になった阪神JFは、この馬にはまったく向かない展開でした。壮絶な叩き合いとなる"我慢比べ"のレースこそ、この馬の本領を発揮できる舞台。阪神JFと似た展開になりそうな桜花賞は微妙なところですが、二冠目のオークス(5月22日/東京・芝2400m)では巻き返しが期待できます」

 ランク入りは逃したものの、5位から1ポイント差の6位には、ペルソナリテ(父ステイゴールド。4戦2勝。阪神JF6着)、ビービーバーレル(父パイロ。6戦2勝。GIIIフェアリーS1着)、シンハライト(父ディープインパクト。1戦1勝)、ルフォール(父キングカメハメハ。1戦1勝)と、4頭もの馬が名を連ねた。なかでも、シンハライトは吉田氏が、ルフォールは本誌競馬班が、2番手に評価している。

吉田氏
「シンハライトは、全兄にアダムスピーク(2011年GIIIラジオNIKKEI杯2歳S優勝)らがいる活力のある血筋。小柄な馬だけに、若いうちから無理使いはできないのですが、そこはこの血統を知り尽くしている石坂正厩舎(栗東)なら心配いりません。ただ、ある程度負荷のかかった攻めを消化しないとレベルアップは望めないので、その辺りが課題になります」

本誌競馬班
「この世代のトップクラスがそろった阪神JFでは、メジャーエンブレム以外はパッとしませんでした。それならば、1勝馬でも今後の活躍が期待できるルフォールを上位に抜擢したいと思います」

 1カ月後のクイーンC(2月13日/東京・芝1600m)において、メジャーエンブレムが今年初出走を迎える。また、トライアル戦を前にして、紅梅S(1月17日/京都・芝1400m)、エルフィンS(2月6日/京都・芝1600m)といった本番につながるオープン特別が開催される。いずれも、クラシックを見据えるうえでは、見逃せないレースばかりだ。

text by Sportiva