国際情勢を鑑みず、核実験を強行した金正恩氏の強引な手腕に、北朝鮮幹部の間からも疑問の声があがっていると平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。情報筋は次のように語る。

「高級幹部たちが、こそっと『金正恩元帥は子供の頃から乱暴だった』と話すようになっている。父親の金正日氏は、正恩氏が目的達成のためには後先考えずがむしゃらに食いつく様子を見て、後継者に決めたという話も出回っている」

核実験を行えば、国際社会から厳しい批判を受け、制裁が強化されることは金正恩第1書記もわかりきっていたはず。それにも関わらず強行したのは、彼が子供の頃から傍若無人な性格だったからと、幹部らは囁いている。

正恩氏の強引なやり方に舌を巻く高級幹部も多いが、幹部をバサバサと粛清し、核実験という無謀な決定を下した金正恩氏は、いつどのような突発行動に出るかわからないと、不安がっているという。

その性格を表すエピソードが幹部の間で語られている。

正恩氏の実母・高ヨンヒ氏が健在だった2003年。両親とともに空軍大学の視察に訪れた金正恩氏は、バスケットボールの試合に飛び入り参加することになった。ところが、プレイ中に、審判の判定が不服だったのか、ボールをコートの外に放り投げて激怒した。

その様子を見た高ヨンヒ氏は、正恩氏を叱りつけたが、金正恩氏は諌めるどころか「放っておけばいいじゃないか」「男なら欲を持たねばならん」と言いながら庇ったという。

金正日氏は、他の息子(金正男氏、金正哲氏)と違って、金正恩氏が自分と性格が似ていると思っていたようだ。後先考えない金正恩氏の性格は、金氏一家の料理人を務めた藤本健二氏の証言からもかいま見える。

藤本氏は、英「デイリー・テレグラフ」紙とのインタビューで、金正恩氏が6歳の頃から毎日一緒に過ごしたとして次のように語った。

「金正恩氏は子供の頃から大人のように振るまい、子供扱いされることを嫌った」「彼は『小さな大将』と呼ばれると激怒した」

金正恩氏の性格は、国連の藩基文(パン・ギムン)事務総長の北朝鮮訪問を、前日になって一方的にキャンセルさせたり、公演のため北京を訪れていたモランボン楽団を急遽帰国させて中国を困らせるなど、深刻な外交上の欠礼を犯したところにも現れている。

子供の頃から王様のように育てられた金正恩氏は、他の誰かに意見されることに耐えられないようだ。また、金正日氏の放任教育が、彼を叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏すら処刑するような暴君に育てたとも言える。

幹部も庶民も、金正恩氏の前に立たされれば縮こまるが、一つ状況が変わればあっという間に心が離れるだろう。ある幹部は「金正恩氏は幹部を懐で抱えることができなければ、この先長くはないだろう」と述べた。