「免許不要」であなたもパイロット?今注目「ウルトラライトプレーン」の注意点

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小さい頃、「将来の夢は?」と聞かれて「パイロット」と答えた男性諸君は少なくないだろう。

よく考えて見れば、「飛行機のパイロット」というのはあくまでも技能であって職業ではない。だから今現在どんな仕事に就いていようと、パイロットになることはできる。

免許さえ取得すれば、誰でもその日から「私はパイロットです」と胸を張れるのだ。

だが現実問題、その免許を取得するには、大きな費用と長い時間を要する。特に費用の問題は頭痛の種で、免許取得までの訓練を受けるだけで数百万円という額がのしかかってしまう。

ところが、それは通常サイズの航空機の話である。

それよりも小型の『ウルトラライトプレーン』を選べば、何と“無免許”で大空を駆け抜けることができる。

「ウルトラライトプレーン」の定義

『ウルトラライトプレーン』、我が国では『超軽量動力機」』訳されているが、これが“免許のいらない飛行機”である。

国土交通省は、ウルトラライトプレーンを以下のように定義している。

・単座又は複座であること。
・自重は、単座のものは180kg以下、複座のものは225kg以下であること。
・翼面積は10m2以上であること。
・最大水平速度は、185km/h以下であること。
・推進力はプロペラで得るものであること。
・車輪、そり、フロート等の着陸装置又は着水装置を装備したものであること。
・燃料タンク容量は30リットル以下であること。
・対気速度を計測できる機器及び高度を計測できる機器を装備したものであること。

(国土交通省公式サイトより引用)

ここで気になるのは、機体重量だ。

単座180kgとは、ライト兄弟が発明した“ライトフライヤー”よりも70kgほど軽い。

また、最大水平速度185km/h以下、燃料タンク容量30リットル以下というスペックは、完全に遊覧用の飛行機である。

機体は国外から個人輸入したものの場合でも(すなわち輸入元の国の政府機関が認証した機体であっても)、当然ながら我が国の法律で定められた基準を満たさなければならない。

免許は必要ないが…

次に、操縦者に下される、国交省からの許可について説明しよう。

筆者は記事の冒頭で「無免許で大空を駆け抜けることができる」と書いたが、だからといって勝手に機体を飛ばしていいわけではない。

免許と許可認定は違うものだ。ドローンの場合も、飛行規制区域内で飛ばす場合は国の許可が必要だが、それと一緒である。

だが、『ウルトラライトプレーン』に関する許可申請は、ドローンよりも遥かに複雑で難しい。

一言で言えば、外部認証機関が発行した技能証明の提出が求められる。「ウルトラライトプレーンに技能証明は必要ないんじゃないの?」という声もあるかもしれないが、それはあくまでも「国家資格としての技能証明(操縦士免許)は必要ない」ということだ。

話は少しややこしくなるが、『ウルトラライトプレーン』の操縦には「この団体で飛行の勉強をしました」と証明できるもの、言い換えれば団体発行の“免許皆伝書”とも言うべきものが許可申請時に求められる。

まったくの素人に国交省が飛行許可を出すなどということは、絶対にあり得ない。

相次ぐ無許可飛行

そして、これ以外にも、飛行の際にはやはり国交省の許可を得なければならない。

だが実のところ、この辺りの話題は国交省ではかなりナーバスになってきている。というのも、今年に入り軽量飛行機による事故が相次いだからだ。

『ウルトラライトプレーン』の墜落に限って言えば、今年8月に茨城県つくば市で発生した事故が挙げられる。複座式の機体に乗っていた2人は、その場で死亡が確認された。

また、これは通常の飛行機による事故だが、7月末には調布市の住宅街に小型機が墜落するということもあった。賢明なる読者諸兄諸姉も、この事故のことは鮮明に覚えておられるだろう。

この2件の事故は、共通している点がある。それは飛行に必要な許可の取得が充分ではなかったということだ。

従って国交省は現在、航空関係者や団体に対し許可申請の徹底を呼びかけている。

『ウルトラライトプレーン』の操縦は、国家資格を必要とする飛行機のそれに比べたら、投じる費用や時間は遥かに少なくて済む。素晴らしいレジャーであることには違いない。

しかし、それは同時に大きな責任を課せられるということだ。

【参考・画像】

超軽量動力機とは(国土交通省公式サイト)

※ Artur Janichev / Shutterstock

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