2015最後の大一番、有馬記念展望(1)

 12月27日に行なわれる大一番・GI有馬記念(中山・芝2500m)。最初に有力馬の1頭に挙げられているラブリーデイ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)について分析しよう。

 同馬は今年急成長して大ブレイクを果たした1頭。昨年の今頃は重賞未勝利の地味な存在だったが、年明けのGIII中山金杯(1月4日/芝2000m)で重賞初制覇を飾ると、続くGII京都記念(2月15日/芝2200m)ではキズナやハープスターといったクラシックホースを相手に重賞連勝。GII阪神大賞典(3月22日/芝3000m)6着、GI天皇賞・春(5月3日/京都・芝3200m)8着と連敗したが、GIII鳴尾記念(6月6日/阪神・芝2000m)を勝って迎えた春のグランプリ・GI宝塚記念(6月28日/阪神・2200m)では6番人気の低評価ながら2番手から抜け出してGI初制覇を果たした。

 秋もその勢いは止まらず、休み明けのGII京都大賞典(10月12日/芝2400m)では上がり3ハロン32秒3という驚異的な瞬発力を繰り出し快勝。続くGI天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)でも早めに抜け出して押し切る横綱相撲で、GI宝塚記念からの連勝を4とし、GI2勝目を挙げたのである。

 しかし、前走のGIジャパンカップ(11月29日/東京・芝2400m)でその連勝はストップ。GI天皇賞・秋同様、好位から早めに抜け出す競馬を見せたが、1番人気馬ゆえに他馬の目標となり、ショウナンパンドラとラストインパクトにかわされ、クビ+クビ差の3着に敗れてしまった。今回の有馬記念は巻き返しなるかがテーマ。ラブリーデイの有馬記念における勝算を、あらゆる角度から分析してみよう。

【距離適性】
 まずは距離適性。ラブリーデイはGII京都大賞典を勝利し、GIジャパンカップで0秒1差3着。高いレベルの2400m戦で結果を残しているが、2500mでは3戦して12着、5着、5着と馬券に絡んだことはない。2年前の有馬記念では、本格化前とはいえ勝ち馬から3秒2差の12着と大敗している。今年大きく敗れたGII阪神大賞典、GI天皇賞・春はそれぞれ3000m、3200mの長距離戦だったこともあり、ベストは2000〜2200mと見るのが妥当。2500mには不安が残る。

 しかし、過去のGI有馬記念を見ると、マイル〜中距離がベストと見られていた馬の好走も目立つ。コーナー6つを回るというトリッキーなコースだけに、時に、素軽い先行力と器用さが大きな武器となるのだ。ラブリーデイはまさにそういった器用なタイプ。展開次第では距離の不安を克服するのも可能だろう。

●結論 
2500mには不安ありも、器用さでカバー可能

【コース適性】
 ラブリーデイは中山で過去4戦。前述のGIII中山金杯を勝っている他は、GI朝日杯フューチュリティステークス7着、GI皐月賞15着、GI有馬記念12着といずれも着外に敗れている。しかし、その3戦はいずれも本格化前の2〜3歳時のもの。あまり気にする必要はないだろう。勝利したGIII中山金杯ではGI皐月賞馬ロゴタイプに1馬身1/4差を付け、1分57秒8のレコードタイムを出す完勝だった。先団の好位につける器用な競馬が得意なので、直線の短い中山コースは向いている。

●結論
中山コースは向いている

【馬齢・ローテーション】
 過去59回の有馬記念優勝馬の馬齢を見ると、3歳馬16勝、4歳馬26勝、5歳馬13勝、6歳馬3勝、7歳馬1勝という内訳。ラブリーデイの5歳馬はオルフェーヴル、ジェンティルドンナとここ2年続けて勝利しているようにそれほど悪い数字ではない。しかし、勝ち馬のローテーションに注目すると心配な点も見えてくる。昨年のジェンティルドンナ、一昨年のオルフェーヴルをはじめ、近年の勝ち馬はいずれも秋3戦目が最多なのである。競走馬の好調期間を長く維持するのは簡単なことではないので、近年のトップホースはGI天皇賞・秋、GIジャパンカップ、GI有馬記念の秋3戦というローテーションが多い。ラブリーデイは秋4戦目。このローテーションで勝利したのは1989年のイナリワンまで遡らなくてはならないのだ。しかも、ラブリーデイは前走で連勝がストップと、その勢いを失っており、3走連続で関西圏から関東圏への輸送という肉体的な負担もある(イナリワンは関東所属)。この条件で上積みと巻き返しを望むのは厳しいだろう。

●結論
5歳馬の秋4戦目は厳しい

【血統】
 父キングカメハメハ産駒のGI有馬記念成績を見てみよう。過去、GI有馬記念には延べ11頭が出走し、勝利はないが2着1回3着3回。昨年のトゥザワールドが9番人気で2着、2011年トゥザグローリーが9番人気3着、2010年トゥザグローリーが14番人気3着と、人気薄の好走が目立っている。ただ、中山芝2500mにおける全条件の成績を見ると、過去45戦3勝。勝ち鞍は1000万下のみで重賞勝ちはなく、勝率6.7%、連対率11.1%という数字。キングカメハメハ産駒としては得意ではない条件と言えるだろう。

●結論
キングカメハメハ産駒にとって得意ではない条件

【まとめ】
 以上、あらゆるファクターからラブリーデイの勝算を占ってみたが、どちらかというとマイナス条件が多く見受けられた。しかし、中山コース向きの器用さを持つという強みもあり、スタミナが要求されないスローペースになって自身が好位で主導権を握れば、勝利の可能性は決して低くないだろう。秋4戦目となるので疲労が残っていないか、直前の追い切りと当日の状態も要チェックして、馬券に反映したい。

※成績は12月13日現在

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki