「リザとキツネと恋する死者たち」の一場面

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 栃木県・那須に伝わる「九尾の狐伝説」をモチーフに、奥手なヒロインが奇妙な事件に巻き込まれる様を描いた、ハンガリーのファンタジー映画「リザとキツネと恋する死者たち」の公開に先駆け、映画.comが本編映像の一部を入手した。トミー谷を名乗る日本人歌手の亡霊が、不思議な日本語歌詞の昭和歌謡を軽快に歌い踊るシュールな姿と、主人公のリザが新しい世界への一歩を踏み出そうとする、物語の展開が気になる場面が切り取られている。

 1970年代のブダペスト。リザは日本大使未亡人の看護人として住み込みで働いていた。リザを癒してくれるのは、リザにだけ見ることができる幽霊の日本人歌手・トミー谷による軽妙な歌声だけだった。そんなある日、リザの留守中に未亡人が殺され、さらに周囲で殺人事件が相次ぐ。不審に思った刑事ゾルタンは下宿人を装って屋敷を訪れる。

 本作が長編デビューとなるCMディレクターのウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督は、かねて日本に興味を持っていたそうで、20代で初めて寿司を食べ「故郷(ホーム)」という言葉が浮かび、神戸の海岸で海女さんが牡蠣を取る夢まで見ていたそうだ。

 日本映画は、勅使河原宏監督「砂の女」から始まり、黒澤明監督や小津安二郎監督、北野武監督、宮崎駿監督を敬愛。とりわけ深作欣二監督の大ファンだそうで、「『やくざの墓場 くちなしの花』などの深作監督の作品は全部コレクションしています。フリーズフレームでバンと字が出るスタイルは、全部深作監督のやり方をまねしていると言っても過言ではないです」と本作への影響を明かしている。

 なお、劇中でトミー谷が歌う楽曲は、昭和の歌謡曲や渋谷系、そして東京ビートルズなどコアな日本の音楽も愛するメーサーロシュ監督が、現地の作曲家と作り上げた全編オリジナル曲だ。ジャポネスクと共産主義時代のブダペストの雰囲気がマッチした不思議な世界観を楽しめる1作だ。

 「リザとキツネと恋する死者たち」は、12月19日から新宿シネマカリテほか全国順次公開。