チャーリー・ブラウン&スヌーピー
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 人気キャラクター・スヌーピーの飼い主チャーリー・ブラウンは、不器用で何をやってもダメな男の子。アメリカ生まれのコミック「ピーナッツ」で誕生した彼は、アメリカというマッチョや強さが好まれる社会ではかなりマイナーな存在だった。しかし「ピーナッツ」はアメリカ全土や世界各国で愛され、チャーリー・ブラウンもまたアメリカ人に愛された。

 スヌーピー初の3D/CG映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』(全国公開中)を手掛けた日本人スタッフの和田元子さんは「チャーリー・ブラウンがアメリカ人に支持されたことはとても面白いこと。その面白さも日本の人に知ってほしい」と話す。「ピーナッツ」が連載を開始したのは1950年代。特に男性には強さが求められていた時代だった。しかし、チャーリー・ブラウンはおちこぼれ的なところがあるキャラクターだ。そんな彼が不器用さのあまり失敗を重ねるたびに、スヌーピーはやきもきしながらも、彼のフォローに回り、彼に愛を持って接する。

 日本の物語だと「ドラえもん」に代表されるようにダメな主人公とそれをフォローする仲間という関係は多く見られるが、アメリカでヒットしているコミックの中では、チャーリー・ブラウンとスヌーピーの関係はかなり珍しい。アメリカでなかなか描かれてこなかった関係をなぜ、原作者のチャールズ・M・シュルツさんは描いたのだろうか? 映画で監督を務め、映画づくりのために1万8,000種類にも及ぶ全てのコミックをほぼ読破したというスティーヴ・マーティノは、「彼は『みんなに嫌われていないか?』『友達はいるか?』『明日野球の試合で勝てるかな?』というような誰でも共感できる気持ちを描いてきました。人との接し方、やさしさ、忍耐、いつも結果が思うようにいかなくても諦めないで続けることが、競争の中で勝ち抜くことよりも大切なんです」と分析する。

 35年ぶりの劇場用アニメーションとなる『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』でも、スヌーピーとチャーリー・ブラウンのスタンスは変わらなかった。チャールズ・M・シュルツさんの息子で、映画のプロデュースと脚本を手掛けたクレイグ・シュルツは「父の伝説を守り、彼が作り上げたことを守る」という意識があったと話す。映画のチャーリー・ブラウンは自分の妹を守るため、片思いの相手にいいところを見せることを諦めて、妹のために道化になることだってする。自身の勝利よりも自分が大切な相手のことを優先する。負けの美学も有するチャーリー・ブラウンの日本人っぽさが、スヌーピーの日本人気を支えているのかもしれない。(編集部・井本早紀)