「母と暮せば」主演の吉永小百合

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 山田洋次監督の84作目となる映画「母と暮せば」が12月12日、全国336スクリーンで公開初日を迎え、山田監督をはじめ主演の吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信が東京・丸の内ピカデリーでの舞台挨拶に出席した。

 山田監督は「この映画の準備が始まった時から、いつかは封切の日が来ると心待ちにしていました」と話しながらも、満場の客席に対し「映画を見終わった人たちの前に立つのは、法廷で判決を待つ被告人の心境で、とてもドキドキしています」と苦笑い。主人公・伸子を演じた吉永は「“山田丸”という大きな船に乗り、スタッフもキャストも心を合わせ、(映画の舞台)長崎を出港し、今日東京に上陸いたしました」と感慨深げで、「お楽しみいただけましたでしょうか」と語りかけると、場内から温かい拍手が上がった。

 また山田組初参加で、伸子の息子・浩二に扮した二宮は、初日の喜びを明かす一方で「公開に向けてテレビや雑誌、新聞にきれいな服で出ていた日々が終わり、汚い格好をして普通の生活していくのかと思うと、どこか寂しい気持ちがあります」とジョーク交じりに吐露。撮影時の苦労を聞かれると「歌のシーンでは、監督の前で何度も歌いました。(山田監督が)『もうちょっと優しくが良い。のびやかに歌ってほしいんだな。あれ、キー違くないか?』。何回もやらせていただきました」と振り返り、これには山田監督も「僕の母校の寮歌を彼が歌ってくれるわけです。嬉しくて涙が出そうでしたね」と手放しで褒めちぎっていた。

 さらにこの日は、“座長”として作品をけん引した吉永にスタッフとキャスト一同からの手紙が寄せられ、二宮が代読。「小百合さんと一緒の船に乗って、本当に幸せな時間を過ごしました。そして、先頭を走り続ける小百合さんは、とてもかっこよかったです。その姿をいつも追いながら、ひとりひとりがもっと頼れる存在になって、小百合さんとまた一緒に素晴らしい作品を作りたい。それが、今日からの我々の目標です」と読み上げられると、再び会場を拍手が包み込んだ。

 これを受け、吉永は「感激しております。皆さんのおかげで、やり通せたと思いますし、胸がいっぱいです」と感無量の面持ち。そして、声を絞りながら「皆さんとしばらくお別れする、つらい気持ちがあります。皆でお芝居をしたりご飯を食べたりする機会を、ぜひ監督にお願いしたい」と願いを込めていた。