2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第1弾)

 2歳牝馬の女王を決する、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)が12月13日に開催される。ということは、来春の3歳クラシックに向けた戦いが本格的にスタートする、ということでもある。

 そこで、この春好評を得た、クラシックを目指す牝馬、牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を、今年は2歳の段階から早くもスタート。各識者が、あくまでも来春のクラシックを念頭に置いて、現段階で純粋にその強さを評価した馬のランキングを紹介していきたい(◆注:阪神JFに出走する馬の評価ランキングではありません)。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来年のクラシックを目指す2歳牝馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 まず今回は、来春の桜花賞、オークスを目標とする2歳牝馬編。

 ここまで行なわれた主な重賞を振り返ってみると、ブランボヌール(牝2歳/父ディープインパクト)が、函館2歳S(7月26日/函館・芝1200m)を完勝。その後、ブランボヌールが1番人気で臨んだファンタジーS(11月7日/京都・芝1400m)では、キャンディバローズ(牝2歳/父ディープインパクト)が接戦をモノにして、ブランボヌールは僅差の3着に終わった。

 一方、クラシックの登竜門として、近年俄然注目を集めている関東の重賞、アルテミスS(10月31日/東京・芝1600m)は、断然人気のメジャーエンブレム(牝2歳/父ダイワメジャー)が2着。代わって勝利を飾ったのは、豪快な末脚を披露したデンコウアンジュ(牝2歳/父メイショウサムソン)だった。

 今回の番付は、これらの結果がある程度反映された印象だ。

 今回評価が高かったのは、ここ最近、アユサン(2013年桜花賞馬)、レッツゴードンキ(2015年桜花賞馬)など、のちのクラシック勝ち馬を次々に輩出している「アルテミスS組」。1位は、同レースで2着に終わったものの、"負けて強し"という内容を見せたメジャーエンブレムだった。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「『来年の桜花賞を勝ちたい』とルメール騎手が惚れ込む逸材。牡馬のような好馬体が非常に印象的で、新馬、500万条件のアスター賞(9月12日/中山・芝1600m)を連勝しました。アルテミスSでは、先に抜け出したところを、大外から差し切られてしまいましたが、負けても評価が下がることはありません」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「ダイワメジャー産駒らしい、筋肉質かつグラマーな体つきで、完成度の高い馬です。レースでは、鞍上の指示に逆らうことなく、上質のスピードと卓越した先行力が際立っています。馬格や血統面からもわかるとおり、パワーも兼ね備えており、時計がかかるタフな舞台でも崩れないタイプでしょう。阪神JFや桜花賞では、時折向かい風が強くなってタフな舞台になりますが、そうした状況にあっても、しっかりと結果を残せそうです」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「アルテミスSは、早め先頭で『勝った』と思ったところを、馬体を離した大外から差し切られたもの。2着に敗れたとはいえ、価値あるレースだったと言えます」

 2位は、アルテミスSの勝ち馬デンコウアンジュ。実際に勝っている分、その実力は1位の「メジャーエンブレム以上」とする声も多い。

土屋真光氏(フリーライター)
「アルテミスSの勝ちっぷりは、決して展開に恵まれたわけではなく、勝負どころから押して、押していって、最後に差し切るという、力がなければできない芸当。長距離戦を得意とする牡馬に似た力強さを感じました。さらに驚いたのが、脱鞍所に戻ってからの息の入り。あれだけ長い距離を追われていたにもかかわらず、ケロッとしていたんです。一見地味な血統ながら、『これは、奥が深い馬だぞ』と感じましたね」

市丸氏
「アルテミスSは、出遅れながらも上がり33秒3の末脚を駆使し、大外から強襲しての勝利。その強さは疑いようがありません。1、2着馬から1馬身半差離された3着以下は、やや落ちる評価でいいと思います」

 3位は、新馬、500万条件の秋明菊賞(11月23日/京都・芝1400m)とデビュー2連勝を飾ったアットザシーサイド(牝2歳/父キングカメハメハ)。2戦とも楽々と突き抜けたレースぶりが、高評価を得ている。

木南氏
「2戦ともに、最速の上がりタイムを記録して快勝。母ルミナスハーバーは、ウオッカ世代の阪神JF3着と、血統も一流です。距離は1400m戦しか経験していませんが、レースぶりを見れば、距離延長への対応も可能でしょう。今のところ、来年の桜花賞有力候補です」

本誌競馬班
「馬群を割って出てくる力強さが魅力。2戦2勝の内容を評価します」

 4位は2頭。ファンタジーSの勝ち馬キャンディバローズと、ラルク(牝2歳/ディープインパクト)が同ポイントだった。ラルクは新馬戦を勝ったばかりだが、話題の血統馬ということもあって、高ポイントを獲得した。

本誌競馬班
「好メンバーがそろったファンタジーSを勝利したキャンディバローズ。その実績を素直に評価したいと思います」

土屋氏
「キャンディバローズは、一戦ごとに力をつけているという印象があり、半姉ファインチョイスよりも成長力を感じます。小柄な馬なので、オークスよりは桜花賞が楽しみ」

吉田氏
「ラルクに関しては、体全体を使ったパドックでの歩きと、ストライドの大きい実戦での走りから、一流の資質を存分に感じます。加えて、スタートセンスがあって、精神面がしっかりしているのも、強調材料です。マイル戦の新馬では、残り1ハロンを流しながらも1分35秒4と、その時計も優秀でした。新馬を勝ったあとは、成長をうながして来年に備えるあたりも、期待の大きさを物語っています。素材は、間違いなくGI級です」

 ベスト5入りしなかった馬の中では、吉田氏がシンハライト(牝2歳/父ディープインパクト)を2位に、市丸氏がクロコスミア(牝2歳/父ステイゴールド)を3位にリストアップした。

吉田氏
「シンハライトは、全兄のアダムスピークをはじめ、活力のある血筋。この血統を知り尽くしている石坂正厩舎が、新馬勝ち後はゆっくりと体質強化に努めており、この馬も血統に違(たが)わぬ走りが期待できます」

市丸氏
「アルテミスS3着のクロコスミア。1、2着馬には離されたものの、次走の500万条件・赤松賞(11月21日/東京・芝1600m)を順当に勝ち上がって、力のあるところを見せました。すでに7戦を消化し、それほど上がり目があるとは思えませんが、阪神JFや桜花賞の舞台ではキャリアがモノを言う可能性もあって、今後の走りに注目です」

 来春のクラシックへ向けて、いよいよ本格化する熾烈な争いから目が離せない。

◆次週は、2歳牡馬ランキングを発表!

text by Sportiva