写真はセブンイレブンのHPより

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 11月29日(日)に「ブラック企業大賞2015」の授賞式が行われた。大賞に選ばれたのは、『セブン-イレブン・ジャパン』だ。ブラック企業大賞は、決して冷やかしではなく、ブラック企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることを目指して作られた経緯があるという。賞に関わっている面々は、弁護士やジャーナリスト、学者などだ。

 セブン-イレブン・ジャパンは、誰もが知る日本最大手のコンビニで、日本国内に1万6319店を展開している。そんな同社がなぜブラック企業大賞なる不名誉な賞を受賞したかというと、販売期限が近い弁当などを値下げして売る「見切り販売」の権利を妨害するなど、本部の不当な経営圧迫が問題となったようだ。

 また、フランチャイズ加盟店から過酷な搾取を行った結果、そのしわ寄せが学生アルバイトに及んでいるともしている。

行き過ぎた搾取が労働者を苦しめる

 このほか、「ブラックバイト賞」には、個別指導塾「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンが選ばれた。講師アルバイトに対して、授業以外の業務に賃金を支払わない「コマ給」が問題となっている塾・予備校産業。明光義塾ではコマ給と手当が支払われていたが、未払い労働が恒常的にあったそう。

「WEB投票賞」と「アリ得ないで賞」のダブル受賞となったのは、アリさんマークで知られる「引越社関東」。労働者や労災組合に対する想像を絶するような激しい対応が選考理由とのことだ。「特別賞」は、パワハラで未成年の労働者を自殺に追い込んだ暁産業が受賞した。

 これに対して、ネット上では、

「コンビニの売り上げと利益まとめた表みて呆れたわ。どんだけ搾取しとんねんセブンイレブン」
「ウチの近所のセブンは店長がいつもため息つきながら接客してます」

 など、フランチャイズに同情的なコメントが書き込まれた。ただ一方では、こんな指摘も。

「セブンイレブンの便利さは、結局フランチャイズの人やバイトがコストを負担してくれて成り立ってるわけで、消費者からすればありがたい話ではある。実は消費者がブラック企業を作り出している側面もあるのではないでしょうか」(全国紙経済部記者)

 ちなみに、授賞式に関係者は誰ひとりとして、姿をあらわさなかったとのこと。受賞者には、後日、賞状とトロフィー、ポケット六法が副賞として送付されるそうだ。

 どの企業も業界内の大手であり、メディアへも強い影響力を持っているためか、ブラック企業大賞に関するニュースは小さな扱いだった。いっそのこと、一社ぐらい授賞式後のシンポジウムに出席して、熱いトークを繰り広げるなど、太っ腹な対応があってもよかったのではないだろうか。改善すべきは改善し、消費者にとっても、働き手にとっても、魅力的な企業になってほしいものだ。

(文・秋山祥子)

秋山祥子Webを中心に執筆活動を行うライター。芸能からITまで、守備範囲は幅広く、ニュースサイトからテクノロジー系まで多方面に活躍。ネットの炎上案件ウォッチャーでもあり、日々パトロールを欠かさない