世界が注目! ジャパンカップ有力馬プレビュー(3)

■ジェンティルドンナとの比較

 GIジャパンカップ(11月29日/東京・芝2400m)で人気の一角を担うと思われるミッキークイーン。GIオークス(5月24日/東京・芝2400m)、GI秋華賞(10月18日/京都・芝2400m)を勝ち、現3歳最強牝馬と見られている馬だ。3歳牝馬によるジャパンカップ勝利は、2012年ジェンティルドンナによる1勝のみ。ミッキークイーンがジェンティルドンナに続く名牝となれるか、分析してみよう。

 まずはジャパンカップ直前時点での、2頭の過去のレース内容やタイムなどから分析・比較する。ジェンティルドンナは日本ダービーより速いレースレコードタイム・2分23秒6を叩き出し、5馬身差の圧勝でオークスを制し、秋華賞も上がり3ハロン33秒1という驚異的な瞬発力で差し切り。GI桜花賞からオークス、GIIローズS、秋華賞と4連勝を飾っている。

 対するミッキークイーンは桜花賞除外後、忘れな草賞(4月12日/阪神・芝2000m)を勝利し、ジェンティルドンナに次ぐ歴代2位の好時計2分25秒0でオークスを勝利。秋初戦のローズS(9月20日/阪神・芝1800m)は2着に敗れたが、秋華賞は馬群の真ん中を早めに抜け出す正攻法の競馬でレースレコード1分56秒9を記録した。素晴らしい走りではあったが、その走りのインパクトは、現時点で3年前のジェンティルドンナを超えているとは言いづらい。上がり3ハロンの最高は33秒7と、瞬発力でも劣っている。ただ、これまで7戦4勝2着3回、0.2秒差以上負けていないという安定性は、ジェンティルドンナ以上のものがあるといえるだろう。

 血統を比較してみよう。ジェンティルドンナは母ドナブリーニが芝6ハロン(約1200m)の2歳イギリスGIチェヴァリーパークSの勝ち馬で、姉ドナウブルーもGIII京都牝馬Sを勝ったマイラー。このような血統背景から、オークスを勝つ前まではジェンティルドンナもマイラーと見られており、桜花賞馬でありながら、オークスは3番人気で迎えていた。最速32秒8という瞬発力は、母のスピードを存分に受け継いでのものだろう。

 対するミッキークイーンの母ミュージカルウェイは、5歳時に芝2000mのフランスGIIドラール賞を勝ち、世界の強豪が集結するGI香港Cで約3馬身差の3着に入った。早い時期から一線級で活躍したドナブリーニに対し、こちらは古馬になって本格化し、牡馬に混じって結果を残した馬である。対照的な2頭と言えるが、ミッキークイーンは母の成績が物語るように成長力の期待できる血統であり、今後さらに力を付けてくるだろう。2000m以上で3戦3勝の成績からも、距離適性はジェンティルドンナより長そう。秋華賞より、ジャパンカップのほうがよい走りを見せられるだろう。さらに、今年はジェンティルドンナ出走時のオルフェーヴルほど強い馬はいないので、その点もプラス材料だ。

■データで見る可能性

 ここからは過去のジャパンカップのデータを中心に分析しよう。過去にジャパンカップに出走した日本の3歳牝馬は別表の通り13頭。1勝、2着2回、3着1回という成績が残っている。注目すべきは最近の6回の成績で、いずれも5着以内に好走しているのだ。

 3歳牝馬に限らず、ジャパンカップでは牝馬の活躍が目立つ。2009年にウオッカ(5歳)が日本の牝馬として初めて勝利して以降、最近6年間で4回勝利。2010年はブエナビスタ(4歳)が1位入線から2着に降着になっているので、実際は牝馬が5回も先頭でゴールを駆け抜けている。上記のデータも併せ、牝馬が強くなった近年の傾向を裏付ける事実だ。

 加えて、同年の秋華賞勝ち馬の成績がいい。1996年のファビラスラフインはシングスピールのハナ差2着、2009年レッドディザイアはウオッカから0.2秒差の3着、そして2012年のジェンティルドンナは前年の3冠馬オルフェーヴルを下して、初の3歳牝馬による勝利を飾っている。秋華賞に加え、ジェンティルドンナ同様にオークスも勝っているミッキークイーンには心強いデータである。

 また、条件を"ディープインパクト産駒の3歳牝馬"に限ると、ジェンティルドンナ、デニムアンドルビー、ハープスターの3頭が出走。秋の大目標を凱旋門賞に置き、海外遠征からの帰国初戦だったハープスターは5着と敗れたが、秋4戦目、中1週の強行軍だったデニムアンドルビーはジェンティルドンナにハナ差の2着に好走した。ディープインパクトは牡馬相手にも怯まない牝馬の一流馬を多く出しており、ミッキークイーンもこれに続く可能性は十分だ。過去のディープインパクト産駒の3歳牝馬の中では、臨戦過程と過去の実績はジェンティルドンナに次ぐものである。

 上記の比較、内容から、ミッキークイーン好走の可能性は極めて高い。消す材料はほとんど見当たらないし、たとえ人気でもおさえておくべき馬だろう。

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki