「LUNA SEA(DVD付) CD+DVD, Original recording remastered」LUNA SEA by amazon

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今年、結成25周年を迎えてジャンルレスな「最“狂”」のフェス、「LUNATIC FEST.」を主催、成功させた「LUNA SEA」。90年代のヴィジュアル系を牽引したのみならず、現在もプロとして活躍する多くのバンド、ミュージシャン、アーティストらに多大な影響を与えてきた。

メンバー1人1人が放つ個性と、そこから生まれる唯一無二の世界観は、日本が世界に胸を張って誇れるエンターテイメントのひとつだ。バンドといえば、通常ボーカルがその顔として存在感を放つものだが、ことLUNA SEAに限っては、メンバーそれぞれの力が同等レベルにぶつかりあい、火花を散らしている印象が強い。それはライブを見れば一目瞭然で、危ういが完璧な均衡を保っている。

そんな彼らだが、実は「嵐を呼ぶバンド」の異名をもつことをご存知だろうか? 

“嵐を呼ぶバンド”という異名


LUNA SEAが“嵐を呼ぶバンド”と呼ばれるようになった由来。それは、ここ一番の大舞台で、かならずといっていいほど悪天候に見舞われるからだ。それは、1991年9月、東京の日本青年館で行われたインディーズ時代の初ホールライブを台風が襲ったことに始まる。続いて1993年8月、デビュー後の日本武道館2DAYSに至っては、大型台風が襲来し2日目の公演が延期、振替公演となった。さらに1994年12月の横浜アリーナ公演も大雪に見舞われている。

その後もLUNA SEAの伝説は続いた。1996年12月のライブ「UN ENDING STYLE TOUR FINAL Christmas STADIUM 〜真冬の野外〜in 横浜スタジアム」では、身を切るような風が吹きすさぶ真冬に、異例の屋外ライブを成し遂げた。通常、観客への配慮もあり野外ライブは夏頃に行われる。一方で、あえて過酷な状況でライブを行うという彼らは、やはり“嵐を呼ぶバンド”にふさわしい。

90年代を彩った華々しい歴史


しかし、この真冬の屋外ライブをもって、LUNA SEAは1年間の充電期間に突入する。翌年1997年には、それぞれがソロ活動を開始。1998年4月には9枚目のシングルで、彼らを代表する名曲である「STORM」をリリースし、オリコン初登場第1位を獲得。その2カ月後には、「SHINE」をリリースし、こちらも初登場第1位。さらに7月に発売された11枚目のシングル「I for You」は、ドラマの主題歌に抜擢され、年末にはバンド初となる『NHK紅白歌合戦』に同楽曲で出演を果たしている。

数十億のステージが嵐で大破


そして1999年へ……。ここに至るまでもかなりの伝説をもつ彼らだが、“嵐を呼ぶバンド”という異名をほしいままにしたのが、この5月、結成10周年記念のライブだ。「LUNA SEA 10TH ANNIVERSARY GIG「NEVER SOLD OUT」CAPACITY∞」は、入場者無制限の超大型イベントで、東京ビッグサイトで特設されたオープンステージを舞台に敢行される予定だった。

ところがその3日前。突如、会場は突風に見舞われ、数十億円をかけた特設ステージが大破! セットや機材が倒れ、廃墟のようになったステージを前にライブの中止も検討されたが、メンバーSUGIZOの意向から「あえて廃墟をセットにしよう」と決まり、ライブは決行。結果、入場者無制限ということもあって、10万人の動員を記録した。

終幕から現在へ


そんな数々の伝説とともに90年代を駆け抜けてきたLUNA SEAだが、2000年に突入し、11月に「終幕」を発表する。ベストアルバムである『PERIOD 〜THE BEST SELECTION〜』は、20世紀最後のオリコンチャート1位を獲得した。その後は、それぞれがソロとして活動を続けるかたわら、ファンがLUNA SEAに触れられる機会はCDやDVDのリリースにとどまっていた。

ところが2007年、突如オフィシャルサイトの特設ページが開設され、1カ月後の皆既月食の日を目指すカウントダウンがスタート。クリスマスイブに東京ドームで一夜限りの復活ライブが行われることが明かされた。55,000枚のライブチケットは、5分ほどで完売したという。

そして2010年。「REBOOT!!」という公式Twitterのツイートを皮切りに、LUNA SEAの再起動が示唆された。2011年の東日本大震災などのチャリティー活動を経て、その後はツアーを行うなど活発な動きを見せているLUNA SEA。
さらに今年6月には、初の主宰フェスである「LUNATIC FEST.」を開催。LUNA SEAが影響を受けた先輩バンド、そしてかれらが影響を与えた後輩バンドらがジャンルレスに集結し、空前絶後のフェスは見事大成功を収めた。このフェスは、まさに現在の音楽業界に「嵐を呼ぶ」出来事として、音楽ファンの心に刻まれたことだろう。

これから先は、一体どんな伝説を生み出してくれるのか? いぶし銀の魅力を備えながらも、年々その“攻撃力”を増しているかれらの今後に、一人のファンとして目が離せない。
(ヤマグチユキコ)
画像はamazonより: 「LUNA SEA(DVD付) CD+DVD, Original recording remastered」LUNA SEA by amazon