世界が注目! ジャパンカップ有力馬プレビュー(1)

 今年のジャパンカップ(GI、11月29日/東京・芝2400メートル)出走馬一の実績を誇るのは、現役最多賞金獲得馬でもあるゴールドシップ。GI6勝を誇り、数々の話題を提供してきたこのスターホースも、この秋の2戦で引退となる。過去のデータや常識に当てはまらない破天荒なタイプではあるが、今回のGIジャパンカップにおけるゴールドシップの取捨を、血統面を中心に分析してみよう。


【レース間隔】
 今回のジャパンカップは、GI宝塚記念(15着、6月29日/阪神・芝2200メートル)以来、約5カ月ぶりの出走となるのが大きなポイント。これまでの最長間隔は3歳時のGI日本ダービーからGII神戸新聞杯までの中16週だったので、今回の21週はそれを上回る。ゴールドシップ自身は、同様に夏を越した前述のGII神戸新聞杯を勝利しているし、他の休み明けでも、久々が敗因と思えるような走りは見せておらず、休み明けは気にしないでよいだろう。ただ、20週を超える休み明けは初めて。ステイゴールド産駒のデータを見ても、中20週以上の出走で平地重賞の馬券圏内(3着以内)に入った馬はいない。

●結論
 自身は休み明けを苦にしないが、過去最長の20週を超える休み明けはやや不安


【コース適性】
 次に、コース適性を見てみよう。ゴールドシップは東京コースで3戦1勝。2012年GIII共同通信杯を勝ち、2012年GI日本ダービー5着、2013年GIジャパンカップ15着という成績が残っている。重賞は勝っているが、どちらかというと得意ではないコースと言えるだろう。ちなみに、ステイゴールド産駒全体では函館競馬場での勝率(11.4%)、連対率(19.2%)がやや目立ち得意と言えるが、その他はほぼ横並び。東京は全競馬場の中で最多の88勝(勝率8.0%、連対率14.2%)を挙げており、比較的相性の良いコースと言える。

 GIではオルフェーヴルが日本ダービーと皐月賞(中山競馬場改修のため、東京開催)を勝利している。ただ、ステイゴールドは多くの古馬中長距離GIホースを出していながら、この路線で勝利がないのは東京コースで行なわれる天皇賞・秋とジャパンカップ2レースだけ。天皇賞・春3勝、宝塚記念5勝、有馬記念4勝と比べると、やはりこのコースは得意とは言いにくい。

●結論
 東京コースは得意ではない


【距離】
 ゴールドシップの2400m成績は5戦1勝。1勝は得意の阪神で行なわれたGII神戸新聞杯で、その他は馬券に絡んでいない。東京芝2400mは前述の日本ダービー5着、ジャパンカップ15着となっている。ちなみに、ステイゴールド産駒全体では、東京芝2400mで16勝。オルフェーヴルが日本ダービーを、フェノーメノがGII青葉賞を制しているが、オルフェーヴルにとってはジャパンカップで3歳牝馬ジェンティルドンナに不覚を取ったコースでもある。強調材料とは言えないだろう。

●結論
 2400mの距離には不安あり


【馬齢】
 馬齢について見てみよう。ゴールドシップは6歳を迎えた今年も天皇賞・春(5月3日/京都・芝3200メートル)を含む重賞2勝と衰えを感じさせないが、ここから先は未知の領域。夏を越え、3〜4歳馬が急激に力をつけてくるこの季節は、春とは事情が違う。ステイゴールド産駒で6歳秋以降に平地重賞を勝った馬はおらず、馬券に絡んだのもナカヤマナイト(牡7歳)による今年のGIII新潟大賞典2着だけである。6歳秋以降の平地勝利は、今年の大阪−ハンブルクCを勝ったサトノシュレン(牡7歳)など2勝のみ。一般的に、古馬になって力をつけるタイプが多いステイゴールド産駒としては意外なデータが残っている。ちなみに、3歳クラシックに強いイメージのディープインパクト産駒は、今年のGIII新潟記念を勝ったパッションダンス(牡7歳)、GIII新潟記念のダコール(牡7歳)と、6歳秋以降で2頭の重賞勝ち馬を出しているのだ。このデータと比較しても、ステイゴールド産駒の6歳秋以降については不安材料と言える。

●結論
 ステイゴールド産駒に6歳秋以降の重賞勝ち馬なし


【毛色】
 毛色にも着目してみよう。芦毛の勝ち馬は1989年のホーリックス、1991年のゴールデンフェザントの2頭のみで、それ以降23年間出ていない。連対も1996年2着のファビラスラフイン以来18年出ていないので、芦毛馬とは相性の悪いレースと言える。ちなみに、ステイゴールドの芦毛馬で重賞勝ちがあるのはゴールドシップのみ。他には、GIオークス3着のアイスフォーリス(母の父クロフネ)がいる。

●結論
 芦毛馬はジャパンカップで18年間連対なし


【騎手】
 最後に、騎手について見てみよう。今回騎乗を予定しているのは横山典弘騎手。ゴールドシップとは5戦2勝(2014年宝塚記念、2015年天皇賞・春)と息の合ったコンビだが、同騎手のジャパンカップ成績は16戦0勝〔0−1−1−14〕とイマイチ。東京芝2400mは日本ダービー2勝(2009年ロジユニヴァース、2014年ワンアンドオンリー)、オークス1勝(2010年サンテミリオン)と大レースを勝っているが、通算では261戦20勝(勝率7.7%、連対率16.1%)と、他の条件に比べても目立って劣る成績が残っている。

●結論
 横山典弘騎手は東京芝2400m不得意


【まとめ】
 以上、様々なアプローチからゴールドシップの取捨を分析したが、強調材料は少なく、不安材料が目立つ結果となってしまった。データ上は厳しいが、ゴールドシップは常識にとらわれない個性派。不安説のあった天皇賞・春を勝利し、確勝ムードだった宝塚記念ではまさかの大出遅れで大敗したように、逆に今回のような不安材料満載の時こそ「買い」なのかもしれない。そういったことを踏まえて、ゴールドシップの馬券を買うか決めて欲しい。どちらにせよ、勝っても負けてもゴールドシップらしい走りを見せて欲しいものである。

※成績は11月15日現在

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki