厳選!2歳馬情報局(2015年版)
第26回:アドヴェントス

 競馬の世界では、同じ母の子を兄弟・姉妹とし、さらに父も同じ場合は、全兄弟・全姉妹と表す(父が違う場合は、半兄弟・半姉妹という)。そして、この全兄弟・全姉妹たちが、立て続けに活躍することがある。

 例えば、2011年の三冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)を含め、GI6勝を挙げたオルフェーヴル(牡/父ステイゴールド)。同馬の全兄にあたるドリームジャーニー(牡)は、現役時にGIタイトルを3つ獲得していた。

 また、GI2勝のダンスパートナー(牝/父サンデーサイレンス)と、1996年のGI菊花賞(京都・芝3000m)を制したダンスインザダーク(牡)、さらに2004年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)、2006年のGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)を勝ったダンスインザムード(牝)の3頭も、すべて父母が同じ"全きょうだい"の関係である。

 このように、全兄弟・全姉妹で活躍している場合、当然ながらその血統は注目を浴びることとなる。これからデビューを目指すアドヴェントス(牝2歳/父ジャングルポケット)も、その一頭だ。

 母のアドマイヤサンデーは、すでにGI馬を2頭輩出している名繁殖牝馬。その2頭とは、ともに父がジャングルポケットのトールポピー(牝)とアヴェンチュラ(牝)である。この2頭は、まさに全姉妹の関係にあたる。

 トールポピーは、2007年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)と、翌2008年のGIオークス(東京・芝2400m)を制覇。アヴェンチュラは、2011年のGI秋華賞(京都・芝2000m)で戴冠した。それぞれ、同世代牝馬の頂点に立った2頭だ。

 そんな2頭のGI馬とまったく同じ血統を持つアドヴェントス。数多くの名馬を管理する堀宣行厩舎(美浦トレセン/茨城県)にあっても、その資質は高く評価されているという。関東競馬専門紙のトラックマンが語る。

「GI馬2頭の全妹ということで、やはりスタッフは期待を持っているようです。馬体重は現在460kg〜470kgほどで、その中に血統馬らしい馬体のよさを感じているみたいですね。気性的にもクセがあるわけではなく、心配な部分はないとのことです」

 アドヴェントスが入厩したのは、11月初旬。同世代の有力馬たちが、来春のクラシックへ向けて続々とデビューしているが、この馬については「焦らずやっていくのが厩舎方針のようです」と、前述のトラックマンが説明する。

「もともと体質があまり強くないタイプで、姉のアヴェンチュラも早い時期に骨折しました。そういったことを踏まえて、デビュー予定は無理に決めず、馬の体調を見ながらじっくり育てていくようですね。ただそれも、血統を含めてこの馬への期待が高いからではないでしょうか。とりあえず、入厩後は順調に調教が積めているので、それが継続されていけば、デビューする日も見えてくるはずです」

 トラックマンによれば、「デビューは年内ギリギリか、場合によっては年明けになるかも」とのこと。しかしそれは、「無理をしない」という方針であって、あくまでも"期待馬"だからこそ。リーディング争いを続ける堀厩舎であれば、その判断も間違いはないだろう。

 偉大な2頭の"全姉"を追いかけて、デビューへの準備を重ねているアドヴェントス。腕利きのスタッフのもと、その才能が華麗に花開くことが期待される。

河合力●文 text by Kawai Chikara