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独特の色使いと美しい曲線、そしてノスタルジックな少女の横顔が印象的なこの作風を、どこかで見たことはありませんか?



ロックバンド ASIAN KUNG-FU GENERATION のCDジャケットや、人気小説『謎解きはディナーのあとで』『夜は短し歩けよ乙女』の表紙……



さらには 音楽の教科書 の表紙まで!



本日のインタビューは、大人気イラストレーター 中村佑介先生 の登場です!

10月23日には『みんなのイラスト教室』(飛鳥新社)と2016年のカレンダーを発売し、現在はサイン会ツアーで全国を飛び回っていらっしゃる大忙しの中村先生に、直撃取材を行ってきました!!



プロが考える、「プロ」と「アマ」の違いとは? イラスト業界の課題点とは? そして、先生のルーツともいえる ユニークな幼少期のエピソード も教えてくださいました! イラストに興味がある方はもちろん、感性の豊かな子を育てたい!とお考えの、芸術・情操教育に興味のあるママさんパパさんたちも必見です!

絵を描くことはお漏らしに似ている!? 中村佑介の幼少期とは?

――イラスト界の第一線でご活躍をされている先生ですが、やはり小さいころから絵を描くことがお好きだったんですか?

そうですね。親しんでいたというか、絵しかなかった というか……。子どもってみんな絵を描きますよね? 物心ついたときに絵を描いている人はほぼ100パーセントで、その割合が年齢とともに減っていきます。そういった意味では、絵を描くことは“お漏らし”みたいなもの です(笑)



――お漏らしですか!?


お漏らししたり駄々をこねたりすることは、子どもにできる言語以外のコミュニケーション手段 という点で、絵を描くことと似ています。僕は二十歳までお漏らしをしていたんですが、それと同様に絵も続けたというだけですね。

――中村先生は、ご両親が建築家とデザイナーという芸術一家のご出身だそうですが、どのようなご家庭だったんですか? 絵の指導も熱心だったんでしょうか?

これが、直接両親に作品に対してのアドバイスをもらったことは実はありません。いい画材を使わせてくれて、描いたものを額に入れて飾ってくれただけなんです。よくある子どもの落書きのように、チラシの裏に描かされたことが一度もない んですよ。

――「落描き」ではなく「作品」だったんですね。

何か描きたいときにチラシを渡されると、「親は自分の絵をなんとも思ってくれてないんだ」と、自尊心が傷つくんです。僕の両親は、普通は子どもが使わないようなちゃんとした画材で絵を描かせてくれたし、部屋を絵の具で汚しても叱りませんでした。子ども心に、絵を描くことに誇りを持てた ので、ずっと続けられたというか……単に絵をやめるタイミングがなかっただけなんですけどね(笑)



――うらやましい環境です! ほかにも、ご両親の影響が強い「子ども時代のエピソード」はありますか?


今思えば、子どものころの 日常生活が色彩感覚の訓練 になっていましたね。

――先生のイラストは、独特の色彩が魅力のひとつですよね。どのような訓練だったんですか?

幼稚園のときは、朝起きたら上着や半ズボン、靴下といった着替えが全部用意されていたのですが、小学校に上がった途端、母が例えば赤い上着だけを用意して、「これに一番似合うと思うズボンを選んでごらん」って。



――すごい! 小学生にしてコーディネートの授業ですね!

うちにあった服は 単色のものばかり でした。キャラクターのプリントTシャツなんて1枚もなくて、とにかく1色のポロシャツや半ズボンで、ロゴもなにも入っていないような服ばかり。

――珍しいですね。

最初は何もわからないから適当に選んで着ていたんですが、組み合わせによっては学校で笑われたり、褒められたり。自分の身をもって、色の相性やその組み合わせが与える印象を感覚で理解していきました。



「いちばんの好きではないけれど」イラストを描き続けた意外な理由

――その後も絵を描き続けて美大に進学されていますが、この流れはご自身の意志ですか?

実は、自分で決めたわけではありません。僕はたいてい母親の言うことを素直に聞いていたので、「美大に行きなさい」と言われて「わかった。行く」と答えただけです(笑)

――素直!

母はイラストレーターになりたかった人なんです。

――では、お母さまの意志を継いで……というお気持ちもあったのでしょうか?

いえ。僕は母の夢を代わりにかなえて親孝行したいというより、イラストレーターになったら褒められるかな? くらいにしか考えていませんでした。母はどの教科よりも美術の成績がいい点数だったときに喜んでくれたので。



――すてきなお母さまだったんですね。

あ、こんな言い方をすると母が亡くなったみたいですが、今でもすごく元気に生きてます(笑)

――失礼しました(笑) そして、美大進学後、さらに「イラストレーター」という道を選ばれたわけですが、進路を選ぶ際に迷いはありましたか? 

美大に進学して、専攻のデザインやイラストのほかにも、音楽や漫画など、たくさんのことを試しましたが、その中で いちばん人に褒められたイラストを続けてきた だけです。自分の好きなものの順番はまったく違います。



――「イラストがいちばん!」というわけではないのですね。好きな順に並べるとどうなるんでしょうか?

まず 漫画、音楽、デザイン、イラスト でしたね。みんながイラストを褒めてくれたので「仕事にするのはそっちかな」と考えました。

――それはちょっと意外です。

だからというわけではありませんが、仕事でイラストを描くこと自体には、楽しさも苦しさもありません。ただ描いて、それが 世の中に出て感想をもらって初めてうれしいんです よ。その瞬間に自分のミッションがようやく達成されます。美大時代から、あるいは小さいころからずっと「絵で喜んでもらうにはどうしたらいいのかな?」と考えていたんです。僕にとって絵は、創作活動ではなくコミュニケーション手段 なんですね。



――イラストを描くのみならず、「サイン会」や「イラスト教室」といった、「人と人との交流」がある企画をたくさんされている先生らしいなと思いました。先生はブログやTwitterなど、自分でなんでも発信されているところもユニークですよね。

雑誌など大きなメディアは僕の考えだけでは動かせないことも多いので、自分が自分のメディアになるしかない と考えています。ただし、この状況は、将来少しずつでも変わっていってくれたらいいなと思っていますね。

――LINEの公式アカウントでも、キーワード応答で画集の作品解説やラフが見られる仕組みになっていて、驚きました!

そういったものをビジネスにしていたのが、これまでのイラスト業界だったと思います。でも、お金は家賃やコンビニでの買い物に困らなければ十分なんです。それよりも、僕が生きているうちに イラストと世間とをつなぐ存在になりたい と思っています。もっとたくさんの人に、絵を身近に感じて楽しんでもらいたい んです。



――たしかに、イラスト業界ってちょっと独特な印象があります。専門的で、環境が整っていないと手が届きづらいというか……。

僕のサイン会に来てくださる方のほとんどが、第一声で「私は全然絵なんて描かないんですけど……」って言うんですよ。でも、その一言は必要ですか? 

――うーん。

たとえば、イラストレーター以外の漫画家やプロ野球選手に置き換えたときには、「私は漫画なんて」とか「私は野球なんて」というのは絶対出ないはずの言葉だと思うんです。まるでエンターテインメントより学問のよう に、そんなセリフを言わせてしまうような状況は、イラストやデザイン業界がつくりあげた「いちげんさんお断り」というイメージの結果だろうなと。

――たしかに、ちょっと敷居が高いイメージです。

そういったムードを打ち壊すためにも、ブログやLINE、Twitterなどを活用して、みんなに身近な存在でありたい と思っています。



この世界に「神」など存在しない! プロが考える「プロ」と「アマ」の違いとは?

――そんな先生は、Twitterやイベントなどで積極的に「イラスト教室」を開催されていますよね。どのような思いがあるのですか?

そうですね。僕はプロとアマチュアの決定的な違いは「知らない人がお金を出してくれるかどうか」だと考えています。そこには大きな壁がありますが、人に“自分の作品がどう見られるか”という意識が持てるかどうかですね。アマチュア時代、小学生ならクラスメート、中高生なら先生やイラストコンクールの審査員、それがプロになると知らないお客さんになります。




――なるほど。


純粋に絵が好きで描いている人には、「相手にどう思われるか」という視点が欠けている ことが、仕事をしていくなかでずっと気になっていました。そんな人たちのために、自分が両親から教わった感覚的な知識を、もっと言葉にしていかなければならないんじゃないかと。

――それでさまざまなご活動をされているんですね。この取り組みは、中村先生ご自身もかなり手間がかかるのでは?

それでも楽しいんですよね。成長を見るのは喜ばしいことですしね。



――やはり、「教え子が育っていく」ことがモチベーションの原点ですか?

それはちょっと違うんですよ。僕のラッキーをたくさんの人に分けなきゃいけない という気持ちからです。自分が将来なりたい職業を両親が仕事にしている環境は、すごくまれで幸運なことですよね。だから、そういう環境にいない人たちのために、なるべく同じことをしてあげたいと思いました。

――先日、『みんなのイラスト教室』というイラストの教科書といえる本も発売されましたよね。やはり、こちらもそのような思いがきっかけになっているのでしょうか?



いろいろな思いがありますが、最も大きいのは「日本のイラストを取り巻く状況をなんとかしたい」という気持ちです。イラストレーターやデザイナーはたくさんいても、それらは仕事から飛び出して、ひとつのエンターテイメントとしては成立していない。例えばマンガやCDはみんな買っていても、画集をおこづかいで買う人はごく少数でしょう。

――マンガやCDに比べると、気軽なもの……ではないかもしれませんね。

僕はイラストレーターを目指していたときから、漫画や音楽と比べて、この現状が本当にダサいなと、ずっと思っていました。そして、この状況を打破するためにできるのは、一生懸命に絵を描くことだけではない と途中で気づいたんです。素晴らしい絵を描く人は今までにたくさんいたんですから。



――なるほど! そこで「イラストを描く」だけでなく、さまざまな挑戦を積極的にされているんですね。現在行われている、全国サイン会ツアーも、そうした目的ですか?

……僕は漫画家の鳥山明先生が大好きなんですが、頭のどこかで あの方が本当に実在するのか、いまだに確信が持てない んですよ(笑) 

――……ちょっとわかる気がします。

だから、作家が前に出てファンの方々とコミュニケーションをとることで、「あ、普通の人間が描いているんだ」って思ってもらいたいんです。ネットでよく「神!」とか言いますが、イラストレーターは神じゃなくて、自分でもなれる存在 なんだと感じてもらえたらうれしいですね。

――ありがとうございました!!




イラストへの情熱とおちゃめな表情が交互に飛びだす、すてきなインタビューとなりました! 先生、お忙しい中、ありがとうございました!

そんな「今、会える先生」のサイン会ツアーのスケジュールはこちらをチェックしてみてください♪



そしてなんと! 先生の 直筆イラスト入りサイン色紙 をプレゼントにいただきました!!



応募方法はこちら!
V.I.P. Pressの公式Twitter(@line_blog)のアカウントをフォロー&こちらのツイートを公式RTもしくは引用RTで、応募完了です!!  ↓
V.I.P. Press@line_blog

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2015/11/16 15:27:11

応募締切は11月23日(月)! 当選者にはDMします!

もちろん、感想つきRTも大歓迎ですよ♪ ぜひご応募お待ちしております!

中村佑介 公式ブログ

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遠いようで、実はとても身近な「イラストの世界」
なんとなく敷居が高く感じていた人も、これを機にその扉を開いてみませんか?

それでは、また!

(撮影/杉映貴子、取材・文/中道薫:ノオト、編集/キャロラインTANIGAWA)