7年ぶりの新作公開に感謝を述べた橋口亮輔監督(中央)

写真拡大

 橋口亮輔監督の7年ぶりの長編新作「恋人たち」が11月14日、全国25スクリーンで公開初日を迎え、橋口監督をはじめ主演の篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、木野花が、東京・テアトル新宿で舞台挨拶を行った。初回上映から立ち見客が出る盛況ぶりをみせたこの日、登壇陣、製作陣の映画愛が爆発した。

 橋口監督にとって、数多くの映画賞を受賞した「ぐるりのこと。」以来7年ぶりの長編となった今作。地方キャンペーンで懸命に感想を伝えてくれた観客たちの反応に、「映画を作る喜びってこういうことかなと思いました」と満面の笑みを浮かべた。そして、「『映画を撮りましょう』と言い続けてくれた」という松竹ブロードキャスティングの深田誠剛プロデューサーに「深田さんがいなかったら今ここにいないと思います。本当にありがとうございました」と真摯な面持ち。さらに次々に製作陣の名前をあげて感謝を伝えた。

 自身のワークショップのメンバーによる映画製作として企画がスタートした今作の出演者は、「8割くらいがワークショップの参加者」といい、「『やっぱり素人下手だったね』と言われたら失敗。注意を払いました」と撮影時を述懐。主演の篠原を「素晴らしい芝居を見せてくれたと思いますけど、まあできない! 不器用で(笑)」とからかったが、篠原は「限界超えていた。でも監督が『おまえだったらやれると思うんだよな』とおっしゃって、僕が(主人公の)アツシを演じることを、僕よりも監督が信じてくださった。ありがとうございました」と頭を下げた。

 一方、「ぐるりのこと。」にも出演した安藤と黒田は、長編復帰に感無量の面持ち。安藤は、劇中のセリフを持ち出し「『このセリフはあなたしか言えないんだから!』と言われた。愛でしかないなと」とニッコリ。黒田も「『ぐるりのこと。』の試写の後に、安藤さんに『すごく素敵でしたね』とメールしたら『この映画の中の住人になれて本当に幸せだ』と返ってきた。この『恋人たち』を見たあとも全く同じようなことを感じました」と“橋口組”の映画愛を見せつけていた。

 またこの日は、橋口監督へのサプライズで深田氏から花束が贈られた。深田氏が「橋口監督とこの映画に関わってくださったすべての人と、この日を迎えられたことを夢のように思っております。監督、よかったですね」と挨拶すると、会場は温かな空気に包まれ、安藤は涙を拭った。これには感動を隠せない様子の橋口監督だったが、「泣かせにかかっているの?」とおどけてみせ、最後まで満開の笑顔を崩さなかった。

 映画は、通り魔に妻を殺された橋りょう点検員、平凡な生活に嫌気がさしている主婦、親友への思いに苦悶する同性愛者の弁護士の3人を主軸に、それぞれが人生に希望を見いだそうともがく姿を描いた。