『恋人たち』の橋口亮輔監督が映画を撮れる喜びを語った

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橋口亮輔監督が、『ぐるりのこと。』(08)以来7年ぶりに撮ったオリジナル長編監督作『恋人たち』が11月14 日から公開され、テアトル新宿で初日舞台挨拶が行われた。登壇したのは、篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、木野花、橋口亮輔監督の7名。橋口監督は「7年経って、やっとここまで戻って来れました」と言葉をかみしめた。

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橋口監督は、最初に、本作を企画したプロデューサーの深田誠剛と小野仁史に、心からお礼を述べた。「深田さんが、ずっと僕に『橋口さん、映画を撮りましょう』と言って励ましてくれました。深田さんがいなかったら、私はこの場にいなかったと思います。小野さんもワークショップから宣伝に至るまで、強い情熱をもって支えてくれました」。

さらに、製作費の200万をクラウドファンディングで集めた本作ということで「ネットを見て手を合わせました」と感謝し、スタッフ陣についても「7年間くらい、いろんなことがあって、映画から遠ざかっていましたが、改めて映画に献身するというスタッフがいらっしゃるとわかって、良かったなと思いました」と感無量の表情を見せた。

篠原、成嶋、池田の主演の3人は、橋口によるワークショップの参加者で、役柄も橋口監督があて書きをしたものだ。篠原は「僕は器用じゃないので、みなさんに支えていただいた。監督が『お前ならやれると思うんだよな』とぼそっと言ってくださって。僕の最後の力は、監督やみなさんのひと押しでした」と頭を下げた。

橋口監督は「ワークショップから始まった映画です。この3人は自分の限界を超えて演じてくれた」と彼らをねぎらった。

舞台挨拶では、新人俳優から、安藤、黒田、木野花らベテラン俳優に至るまで、全員が橋口組に参加した喜びを興奮しながら口にした。そして最後に深田誠剛プロデューサーが、花束を持って登場すると、MCを務めた宣伝プロデューサーの大島美樹が涙で言葉を詰まらせる。橋口監督も「大島さんが泣いちゃうと僕まで」と苦笑いした後「ものを伝えることで、素敵なものが返ってくる」と、映画を撮ることの喜びを訴えかけた。

『恋人たち』は、絶望的な思いをしながらも、ささやかな希望を胸に再び歩き出すという再生のドラマ。橋口監督はワークショップで出会った新人俳優陣たちを迎えて、絶妙なアンサンブルを撮り上げた。【取材・文/山崎伸子】