21世紀中の日帰り「月旅行」は実現するのか? 物議を呼ぶ謎の「EM Drive」が完成間近!?

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今や21世紀。SFの世界では、すでに宇宙旅行は当たり前になっていた。
しかし、現実に宇宙旅行は、国内・海外旅行のように、だれでもが手軽にできる時代にはなっていない。

原因のひとつが距離だ。現在の技術では月旅行するだけでも、最低10日はかかるそうだ。
しかし、近い将来日帰りで月旅行ができる技術が開発されるかもしれない。

●マイクロ波を使う「EM Drive」
その技術というのは、「EM Drive」だ。
この理論が提唱されたのは2000年。その後、動作実験が繰り返され、今年夏には実験が成功したという。

「EM Drive」は、エンジンにてマイクロ波を反射させることで、推進力を得る。
現在の推進力は噴射剤によるものだ。この方式では大量の噴射剤が必要になる。大量の噴射剤を搭載するには、大きなロケットが必要となる。また。多くの噴射剤を運ぶための噴射剤もより多く必要になる。

つまり、遠くに行くための燃料を運ぶために、さらに燃料が必要で、噴射剤が枯渇すれば宇宙で立ち往生してしまう。なんとも効率が悪い。

一方、マイクロ波(電磁波)を利用する方法であれば、噴射剤の枯渇がなくなるほか、宇宙空間でも安定した加速が可能になるという。

また「EM Drive」を利用することで、宇宙探査にかかる時間が画期的に短くなる。
・月へ 片道4時間(現在、約120時間)
・火星へ 片道70日(現在、約180日)
・ケンタウルス座アルファへ 片道100年(現在、数千年)

※かかる時間は諸説あります

「EM Drive」は、月であれば往復8時間で行って帰ってこられる。じゅうぶん日帰り旅行が可能というわけだ。

●一気にエネルギー問題も解決
「EM Drive」がスゴイところは、推進力だけではない。
なんと、半永久的に推進力を得られるのだそうだ。

理由は、エネルギーに太陽光発電を使うため、光が当たっていれば常に加速できるからだ。
噴射剤はおろか、燃料だって不要な画期的なエンジンなのだ。

●物理の法則に反するという声も
しかし、世の中、そうそう都合良いわけでなにようだ。実は、課題はまだ多いらしい。

まず、真空中から物体を動かすエネルギーを得るには、外部からチカラを得る必要があるということ。
マイクロ波をエンジンで反射させて加速する「EM Drive」は、物理法則に反するのではないかという声がある。
そもそも「エセ技術」ではないかという、疑いの声も上がっているそうだ。

「EM Drive」が、革新的な技術なのか、エセ技術なのか、まだ物議は盛り上がりそうだ。

これも、近未来、人類が宇宙航行をするため、新しい世界を築くためには、
今の化石燃料に代わる新たなエネルギー(推進力)が必要だと、誰しもわかっているからだろう。

ぜひとも「EM Drive」も含め、新たな技術を完成して、21世紀中に「月に日帰り旅行」を実現して欲しいものだ。

EM Driveについて(英語)


布施 繁樹