厳選!2歳馬情報局(2015年版)
■第24回:レッドアヴァンセ

 競馬界の未来を担う若駒たちが、次々に登場する2歳戦線。その動向を毎年つぶさに見守っているファンにとって、まさしく"お馴染み"の血統馬がもうすぐデビューを迎えようとしている。

 レッドアヴァンセ(牝2歳/父ディープインパクト)である。

 彼女の母は、現役時代に牝馬の重賞戦線を賑わしたエリモピクシー。しかし同馬が、本当の意味でその"能力"を存分に発揮したのは引退後、繁殖牝馬となってからだった。

 初子となったリディル(牡/父アグネスタキオン)は、重賞2勝(デイリー杯2歳S、スワンS)をマーク。いまだ現役として奮闘している2番子のクラレント(牡6歳/父ダンスインザダーク)にいたっては、重賞タイトルを6つも獲得している(デイリー杯2歳S、富士S、東京新聞杯、エプソムC、関屋記念、京成杯AH)。

 さらに、3番子のレッドアリオン(牡5歳/父アグネスタキオン)も、重賞を2度制覇(マイラーズC、関屋記念)。4番子のサトノルパン(牡4歳/父ディープインパクト)は重賞未勝利ながら、3歳時に日本ダービー出走を果たし、その後も重賞戦線で奮闘している。

 まさに、"重賞常連ファミリー"と言えるエリモピクシーの子どもたち。となると、同じ母から生まれたレッドアヴァンセへの期待が高くなるのも無理はない。

 実際、同馬を管理する音無秀孝厩舎(栗東トレセン/滋賀県)からは、力のこもった様子が伝わってくるという。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「この母の子を音無厩舎で預かるのは初めてですが、スタッフは『いいモノを持っている』とかなりの惚れ込みようです。『血統的に期待しているし、むしろ走ってもらわなければ困る』とまで言っていましたから。言葉どおり、高い評価をしていることがひしひしと伝わってきましたね」

 スタッフが手放しで褒める2歳牝馬は、10月23日にゲート試験を合格。11月21日の2歳新馬(京都・芝1600m)をデビュー戦に定めている。鞍上は、音無厩舎に所属する若手の松若風馬騎手になる予定だ。

 繊細な2歳牝馬だからこそ、中間の調整においては気を配ることも多い。その辺りについても、スタッフ間で綿密に打ち合わせされて、慎重かつ的確に物事は運んでいるようだ。先述のトラックマンが続ける。

「陣営は、『テンションを上げないよう、じっくりとピッチを上げていって、デビュー戦を迎えたい』と言っていました。レッドアヴァンセは、少し気持ちが前向きなようで、そこに細心の注意を払って調整するようですね。そうは言っても、期待のほうが大きいのは間違いありません。ここに来て、徐々に体が立派になってきて、『見栄えがする馬体になってきた』とスタッフが大いに喜んでいましたから」

 デビュー戦を勝った場合、そのままGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)挑戦も視野に入っているというレッドアヴァンセ。そんなイメージを膨らませるほど、資質の高さは相当なものなのだろう。

 重賞馬を次々に輩出してきたエリモピクシー。ただし、いまだGIを手にした子どもはいない。はたしてレッドアヴァンセは、優秀な兄たちでさえ果たしていない夢を実現できるのか。間近に迫った初陣に注目したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara