銀河鉄道999の終着駅「アンドロメダ」ってどこにあるの?
松本零士の名作「銀河鉄道999(スリーナイン)」。
この作品の中で、鉄郎少年と謎の女性メーテルは銀河鉄道999に乗って機械のカラダをくれるという終着駅がある「アンドロメダ」を目指しますが、このアンドロメダとはいったいどこにあるのでしょう。
そこで、今回はアンドロメダに向かって一緒に旅をしてみたいと思います。
■ アンドロメダって実在するの?
そもそも、アンドロメダという天体は本当にあるのでしょうか?
…いいえ、残念ながらアンドロメダという星は存在しません。
けれども、アンドロメダという星座や銀河であれば実在します。
日本の秋を代表する星座の1つに、大四辺形で有名な「ペガスス座」がありますが、そのすぐお隣にあるのがギリシア神話のアンドロメダ王女が星座になった「アンドロメダ座」です。
そして、そのアンドロメダ王女の腰にあたる付近に見える銀河が「アンドロメダ銀河(M31)」です。この銀河は地球からおよそ250万光年の距離にあって、私たちが肉眼で観測できるもっとも遠い天体として知られています。このアンドロメダ銀河も、私たちのいる銀河系(天の川銀河)と同じような渦巻き状の銀河で、大きさは直径10万〜20万光年と推定されています。
10月中旬頃の場合、山間部などの暗い場所で月明かりも少なければ、22時前後の東の空高くに淡くボーッと光るアンドロメダ銀河を捉えることができるかもしれません。
ちなみに、アンドロメダ銀河の近くにあって、王女の頭の部分にあたる2等星「アルフェラッツ」はアンドロメダ座の星でありながら、ペガスス座の四辺形の1つの頂点も掛け持ちしている珍しい星です。アルフェラッツというのは「馬のへそ」という意味であり、かつてはペガスス座の星だった時代もあります。
■ アンドロメダにまつわる神話
ギリシア神話に登場するアンドロメダは、古代エチオピアの王ケフェウスとカシオペア王妃との間に生まれた王女です。アンドロメダはたいへん美しく、それを誇りに思っていたカシオペアは至るところで自慢をしていました。しかしある日、海の神ポセイドンの孫娘よりも美しいと自慢したことが偶然ポセイドンの耳に入ってしまいます。それに怒ったポセイドンは、お化けクジラを使ってエチオピアに洪水などの災いをもたらしたのでした。
困ったケフェウスは災いから逃れる方法はないかと神々に相談したところ、「アンドロメダをお化けクジラの生け贄にせよ」と言われたため、そのお告げに従おうとアンドロメダを海辺の岩場に繋ぎます。
そこへ通りかかったのが、見た者を石に変えてしまうという怪物メデューサを倒して故郷へ帰る途中の英雄ペルセウスでした。ペガサスに乗ったペルセウスはメデューサを使って、お化けクジラを石にして見事退治してみせます。これをきっかけに、ペルセウスとアンドロメダは結婚して幸せに暮らしたということです。
■ やがては銀河系と衝突する…
アンドロメダ銀河はこの広い宇宙空間を、時速40万キロを超える猛烈なスピードで移動しています。
時速40万キロといっても実感がわかないと思いますが、地球と月との平均距離がおよそ38万キロですので、1時間でそのぐらい移動していると考えると、多少はそのすごさがお分かりになるでしょうか。
しかも、アンドロメダが向かっている先には、なんと地球があるこの銀河系があります。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が2012年に発表した内容によると、40億年後に銀河系とアンドロメダ銀河は正面衝突し、その後20億年をかけてお互いの重力に引かれ合いながら、やがて合体し1つの銀河になると考えられています。
■ まとめ
銀河鉄道999が目指したアンドロメダ。実際には地球から250万光年の距離にその銀河があり、条件さえよければ肉眼でその姿を見ることもできます。
さらに驚くべきことに、このアンドロメダ銀河は時速40万キロという猛スピードで私たちの住む銀河系に向かってきており、40〜60億年後にはきっと1つの銀河となって宇宙空間を漂うことになるでしょう。
(文/TERA)
●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
この作品の中で、鉄郎少年と謎の女性メーテルは銀河鉄道999に乗って機械のカラダをくれるという終着駅がある「アンドロメダ」を目指しますが、このアンドロメダとはいったいどこにあるのでしょう。
そこで、今回はアンドロメダに向かって一緒に旅をしてみたいと思います。
■ アンドロメダって実在するの?
そもそも、アンドロメダという天体は本当にあるのでしょうか?
けれども、アンドロメダという星座や銀河であれば実在します。
日本の秋を代表する星座の1つに、大四辺形で有名な「ペガスス座」がありますが、そのすぐお隣にあるのがギリシア神話のアンドロメダ王女が星座になった「アンドロメダ座」です。
そして、そのアンドロメダ王女の腰にあたる付近に見える銀河が「アンドロメダ銀河(M31)」です。この銀河は地球からおよそ250万光年の距離にあって、私たちが肉眼で観測できるもっとも遠い天体として知られています。このアンドロメダ銀河も、私たちのいる銀河系(天の川銀河)と同じような渦巻き状の銀河で、大きさは直径10万〜20万光年と推定されています。
10月中旬頃の場合、山間部などの暗い場所で月明かりも少なければ、22時前後の東の空高くに淡くボーッと光るアンドロメダ銀河を捉えることができるかもしれません。
ちなみに、アンドロメダ銀河の近くにあって、王女の頭の部分にあたる2等星「アルフェラッツ」はアンドロメダ座の星でありながら、ペガスス座の四辺形の1つの頂点も掛け持ちしている珍しい星です。アルフェラッツというのは「馬のへそ」という意味であり、かつてはペガスス座の星だった時代もあります。
■ アンドロメダにまつわる神話
ギリシア神話に登場するアンドロメダは、古代エチオピアの王ケフェウスとカシオペア王妃との間に生まれた王女です。アンドロメダはたいへん美しく、それを誇りに思っていたカシオペアは至るところで自慢をしていました。しかしある日、海の神ポセイドンの孫娘よりも美しいと自慢したことが偶然ポセイドンの耳に入ってしまいます。それに怒ったポセイドンは、お化けクジラを使ってエチオピアに洪水などの災いをもたらしたのでした。
困ったケフェウスは災いから逃れる方法はないかと神々に相談したところ、「アンドロメダをお化けクジラの生け贄にせよ」と言われたため、そのお告げに従おうとアンドロメダを海辺の岩場に繋ぎます。
そこへ通りかかったのが、見た者を石に変えてしまうという怪物メデューサを倒して故郷へ帰る途中の英雄ペルセウスでした。ペガサスに乗ったペルセウスはメデューサを使って、お化けクジラを石にして見事退治してみせます。これをきっかけに、ペルセウスとアンドロメダは結婚して幸せに暮らしたということです。
■ やがては銀河系と衝突する…
アンドロメダ銀河はこの広い宇宙空間を、時速40万キロを超える猛烈なスピードで移動しています。
時速40万キロといっても実感がわかないと思いますが、地球と月との平均距離がおよそ38万キロですので、1時間でそのぐらい移動していると考えると、多少はそのすごさがお分かりになるでしょうか。
しかも、アンドロメダが向かっている先には、なんと地球があるこの銀河系があります。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が2012年に発表した内容によると、40億年後に銀河系とアンドロメダ銀河は正面衝突し、その後20億年をかけてお互いの重力に引かれ合いながら、やがて合体し1つの銀河になると考えられています。
■ まとめ
銀河鉄道999が目指したアンドロメダ。実際には地球から250万光年の距離にその銀河があり、条件さえよければ肉眼でその姿を見ることもできます。
さらに驚くべきことに、このアンドロメダ銀河は時速40万キロという猛スピードで私たちの住む銀河系に向かってきており、40〜60億年後にはきっと1つの銀河となって宇宙空間を漂うことになるでしょう。
(文/TERA)
●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。