TIFFを振り返ったブリランテ・
メンドーサ監督

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 フィリピンのインディペンデント映画界を代表する鬼才ブリランテ・メンドーサ監督が、同国における里子の養育制度を題材に描いた「フォスター・チャイルド」(2007)が10月28日、第28回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIS #02 熱風!フィリピン」部門の特集企画「ブリランテ・メンドーサの世界」で上映され、メンドーサ監督と女優のユージン・ドミンゴが東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでティーチインに臨んだ。

 同特集企画の最終日となったこの日。メンドーサ監督は、「この9日間、お客さんとともに過ごし、つながりを感じられた。皆さんとの経験を通して、多くのものを得られました」感慨深げ。客席を見渡しながら「今日が最後のQ&A。朝早くからありがとうございます!」と感謝を述べた。

 この思いに応えるように、質疑応答の場面ではたくさんの質問が寄せられた。「監督の作品は、長回しで撮影する手法を多用するのはなぜか」と問われたメンドーサ監督は、「状況やロケ地も映画の出演者。重要なキャラクター」であると述べ、「ロングテイクをすると、空間が生きてくる」と説明。そのためには「自分も作品に深く入り込み、没頭すること」が不可欠であり、「題材をリサーチすること。その場所を理解して、そのなかに入り込むことが重要である」と語った。

 本作もまた、この長回しで撮影するスタイルによって、フィリピンのスラム街という“空間”をリアリティたっぷりに映し出している。「どれだけ“リアル”を追求したのか?」という質問に対して、ドミンゴは「サプライズを生み出す演出こそが“ブリランテ流”」と語る。「現場では、脚本があったりなかったりした」と例を挙げ、「そうすると何かサプライズ生まれる。そのリアクションを収める。それによって生々しく、生き生きとした作品が生まれる。監督は驚かすのが好きなんです」と説明した。

 メンドーサ監督は、本映画祭と国際交流基金アジアセンターとの共同事業として新たに企画された“アジア・オムニバス映画製作シリーズ”「アジア三面鏡」のへの参加が決定。行定勲監督、カンボジアのソト・クォーリーカー監督とともに、ひとつのテーマをもとにオムニバス映画を共同製作する。この発表に客席から歓声が上がるなか、メンドーサ監督は「また来年戻ってきます!」と笑顔で語り深々と一礼すると、場内は盛大な拍手に包まれた。

 夫と2人の子どもと暮らしながら、里子(フォスターチャイルド)を一時的に預かる仕事をしている主人公テルマは、アメリカ人の里親が見つかるのを待っている3歳のジョンジョンを引き受けている。やがて里親希望者が現れ、テルマは寂しさを覚えながらもジョンジョンを引き渡し場所へ連れていく。第28回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。