ムスリムの多く住むタイ南部3県で撮影を敢行

写真拡大

 第28回東京国際映画祭の「アジアの未来」部門で10月30日、タイ映画「孤島の葬列」がワールドプレミア上映され、製作・脚本・監督を務めたピムパカー・トーウィラ、主演女優のヒーン・サシトーン、共演のウックリット・ポーンサムパンスック、ヨッサワット・シッティウォンが東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでのティーチインに出席した。

 映画プロデューサーや批評家としての顔も持つトーウィラ監督の長編2作目。イスラム文化が根付くタイ南部の地域を旅するライラーたちの前に、ある離島が姿を現す。一行はその離島へと渡り、不思議な出来事に巻き込まれていく。

 情勢不安が懸念されるパッターニーを含む、南部3県で撮影を敢行した今作。トーウィラ監督は、「タイでは大部分の国民が仏教徒ですが、もちろんほかの宗教を信じている人もいます。タイの国境南部3県には、仏教徒よりもムスリムの人たちが多く住んでいます」と地域的特性を説明する。さらに「バンコクのムスリムと、南部のムスリムはかなり性質が違います。ライフスタイルが違うほか、言語も南タイの人々はマレー語に近い言葉を使います」と隔たりを語り、「南部のムスリムの子どもたちは、バンコクやタイの中部には行きたがらない。南部とは(文化も言葉も)違うからです。むしろマレーシアの方が似ているので、高校に進学する場合にも、マレーシアの方に行きたがるんです」と話した。

 また、「南タイは2004年ごろから現在まで情勢不安定で、いろいろな事件が起きました」と神妙な面持ち。しかし、かつては南部地域の方が過激だと考えられていたが、2010年にバンコクのデパート「セントラルワールドセンター」が反政府デモの影響で火災に見舞われた事件を境に、その潮目が変わったという。今年8月には、バンコクで連続爆発テロが発生した。

 トーウィラ監督は「以前は南タイの方が過激だと思われていましたが、バンコクも中部も南部も過激さは変わらないのだと感じました」といい、「過激な事件は、タイのどこでも起こり得るんです」と社会状況に警鐘を鳴らす。さらに、パッターニーでの撮影を「今作以前にも多くの映画がそこで撮影されていますが、私が撮影に行ったときはすごく情勢が良くなかった」と振り返り、「同行してくれる撮影スタッフを探すにも、大変苦労しました。保険を掛けなければいけないですし、約20人のスタッフの人生を背負うつもりで行きました」と明かしていた。

 第28回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。同日にはクロージングセレモニーが行われ、各部門の受賞作品が発表される。