「エール!」主演ルアンヌ・エメラ (c)MathieuC・エar

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 ろうあの家族の愛を描き、フランスで観客動員750万人を記録、6月に開催されたフランス映画祭2015では観客賞を受賞した感動作「エール!」が10月31日公開する。今作でスクリーンデビューし、フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞と、ゴールデン・グローブ賞に相当するリュミエール賞で最優秀新人女優賞に輝いた主演のルアンヌ・エメラが作品を語った。

 映画は、自分以外の家族全員が聴覚障害者という家庭で育った、女子高生ポーラ・ベリエの夢と葛藤を描く。ポーラは、学校以外では常に手話で一家の通訳をする生活を送っている。ある日、ポーラの歌の才能を見出した音楽教師がパリの音楽学校に推薦すると言い出すが、歌声を聞けない家族はその才能を信じられず大反対。夢を諦めかけたポーラだったが、懸命に歌う姿が家族の心を動かしてく。

 人気オーディション番組「The Voice」に出場したことがきっかけで歌手デビューしていたエメラをエリック・ラルティゴ監督が発見。オーディションを振り返る。「とにかく緊張しまくりだったわ。だって16歳で映画のオーディションに出るなんて、クレイジーでしょ! ただの北フランス出身の女子高生に、こんなチャンスってそうそうあるものじゃないわ。でもエリックと私はすぐに意気投合して、それからは楽しかった。ほどなくして脚本が送られてきたわね。読んだとたんに感動したわ」

 劇中のポーラ同様、エメラにとっても本作出演がきっかけで人生が変わったという。「撮影は大変だったけれど、とても得がたい“実習期間”だったわね。撮影を通じて、私の人生は紛れもなく豊かになったと思うわ。それに、手話を習うのがとても楽しかったの。私はもともと文学少女で、高校で一番好きな科目も外国語だったの。だから手話を習うのが楽しかったのも不思議ではないわよね! といっても、手話と外国語では、随分違うのよ。手話は聴覚障がい者の人たちだけしか使わないから、そんなに一般的ではないしね。でも手話って素晴らしい言葉だわ。感情表現がとてもよくできるの」と、作品の鍵となる手話習得に意欲的に臨んだ。

 自身が演じるポーラについて深く掘り下げるうちに、共感を覚えていった。「彼女は意志が強くて、自分の人生を成功に導こうと強く思っている。でも、それと同時に、将来のことを思うとちょっとだけ怖くなるわ。自信がないというのとは違うの。自分に類まれなる歌の才能があるということを、まだわかっていないだけなのよ。それに、家族に対する責任を感じていて、家族を見放したくないと思っているから、心の奥底では自分の夢を生きたいと思っている気持ちと板挟みになってしまうの。もしポーラ・ベリエがこの世に存在するなら、私の親友になってほしいわ!」

 「エール!」は、10月31日から新宿バルト9ほか全国で公開。