精鋭13人で製作!

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 第28回東京国際映画祭のコンペティション部門出品作「ルクリ」のベイゴ・オウンプー監督、主演俳優のユハン・ウルフサク、女優のミルテル・ポフラ、プロデューサーのティーナ・サビが10月29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで会見した。

 バルト3国のエストニア映画で、オウンプー監督が1年半ほど前にロシアが隣国のウクライナ・クリミア半島に侵攻したことによる危機感から構想を開始。資金をクラウドファウンディングで募り、出演者6人とスタッフ7人のわずか13人だけで製作された野心作だ。

 「バルト3国が緊張に包まれ、戦争が身近なものになった。とにかく製作を急がなければならなかったので、脚本も細部を固めずに撮影した。これで映画が作れるかどうかの実験でもあった」と説明。若者たちが自給自足で暮らしているのどかな村に、戦闘機の爆音がとどろいたことから戦争の雰囲気が漂い始めていくドラマを、哲学的な観念も交え多彩な映像表現で描出している。

 ウルフサクは、「即興や台本をあえて削ったりしながら、さまざまな手法で撮っていった。こういうプロセスが夢だったし、困難と充実感の両方があった。でも、カメラを常に回していて、監督が満足するまで続けなければいけなかったからエンドレスだったよ」と苦笑。ポフラも、「脚本は限られた内容だったけれど、女優として想像力を働かせることができたわ」と自身の成長を実感している様子だ。

 クラウドファウンディングにより456人から1万6000ユーロ(約212万円)が集まり、助成金も含め製作費は4万5000ユーロ(約600万円)。スタッフ、キャストは全員ノーギャラで、全収益を13等分するという。オウンプー監督は、「皆が僕のアバンチュールに付き合ってくれて、労力を注いでくれた。エストニアでは不必要な芸術的挑戦などと言われ、賛否は真っ二つだったけれど、意外と楽しんで見てもらえたようだ。日本やアジアの観客も楽しませたいと思っているよ。ちょっと奇妙な方法になるかもしれないけれどね」といたずらっぽい笑顔を浮かべながらも満足そうだった。

 第28回東京国際映画祭は10月31日まで開催。コンペの審査結果は同日のクロージングセレモニーで発表される。