Perfume、ドキュメンタリー映画から浮かび上がる仕事論

写真拡大 (全3枚)


あーちゃん、のっち、かしゆかの3人が手を合わせて円陣を組んだ。

「がんばるぞ!がんばるぞ!がんばるぞ!がんばるぞ!」

鋭く4回発声する。いい終わると3人は目を閉じて10秒ほど動かない。やがて3人同時に目を開け、ステージに向かう。後姿を追いかけるカメラ。

Perfumeがライブ前に必ず行う気合入れの儀式から映画は始まった。

すっぴんのPerfumeが見られる映画



映画 『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』はPerfumeの3回目のワールドツアーを記録したドキュメンタリー映画だ。

カメラはライブ風景だけではなく、ステージ裏、楽屋、リハーサル、3人のオフショットまで撮っている。

ステージ裏や楽屋では、ほとんど無表情で仕事をこなしている。ライブやファングリーティングでは一転して、とびきりの笑顔になる。

まるっきり「すっぴん」のPerfumeが楽屋入りする様子までもが映し出されている。もっとも、顔半分を覆うような大きなマスクを付けてそそくさとメイクルームに入ってしまうために、顔はチラッとしか見えないのだけれども。

オフの日の笑顔は、ファンの前で見せる笑顔と違ってゆるんだ自然な感じ。メイクが違うのもあるかもしれないが、アメリカでチーズバーガーを手にはしゃぐ姿は、普通の女の子の旅行みたいだ。

各国でのPerfume人気はすごい。どこの会場も満員で、会場の数時間前から観客たちが列を作っている。シンガポール公演では、オーストラリアから参戦しているファンが映し出されていた。

淡々と行われるダメだし


印象に残るのは、ライブ後に必ず行っている「ダメだし」だ。

アイドルというより、デバッグ作業をしているエンジニアみたいである。問題点は次のライブのセットリストに反映させてゆくのだから、実際にデバッグ作業に近いのかもしれない。

「海外のお客さんに意味が分かるのは『spending all my time』(全編ほぼ英語詞)だけ。だからこの曲はもっと長くやるべき」と、あーちゃん。「海外のお客さんは、舞台が暗転するとそこでいったん盛り下がってしまう。なるべく連続してやったほうがいい」

1度だけ、ダメだしで3人が笑いあう回がある。のっちがダンスの振りを完全に間違えて、動きが止まってしまった後のダメだし会議だ。でもそれは失敗をなぐさめるための笑いではなくて、吹き飛ばすための大笑いである。

ハイヒールをものともせずよく動く


ぼくは指圧師なのだが、3人の働きぶりが心配になってしまう。

Perfumeは7センチのハイヒールを履いてダンスをしている。膝から下の負担はかなりのものだ。特にしゃがむ動作はキツい。前脛骨筋は悲鳴を上げている。ジャンプの動作も心配だ。骨盤は極端な前傾を強いられ腰背部への緊張も相当なものである。ライブは3時間くらいか。

(完全に余談だけどYotubeに上がっている公式PV『VOICE』では1:40前後でかしゆかが腰の角度がやばいまま静止している。観ていてヒヤヒヤする)

ライブの後は氷水がたっぷりと入った「長いゴミ箱」に、足を突っ込んで冷やしたままダメ出し会議をやっている。氷のうを肩に当てながら移動している。頼む、休んでくれ!

浮かび上がる仕事論


のっちは 「Perfumeは私の人生の全て」 、あーちゃんは「 Perfumeがなくなったら自分ではない」 と語る。仕事をすることでアイディンティティを作りあげてゆくタイプなのだ。

ツアーの終了の打上げになると「Perfume始めたころは誰も見てくれんかったのに」とあーちゃんがいって、みんな泣いてしまう。Perfumeは結成から『ポリリズム』のブレイクまで7年かかっている。長い不遇の時期が今のモチベーションにつながっているのだろう。Perfumeやアイドルに興味のない人にもぜひ観てもらいたい。こんなに力強く仕事をしている20代の女の子の裏側、そうそう見られない。


(斎藤充博)