今年こそブラジルの両親に吉報を。ドラフト指名を待つ仲尾次オスカル、3度目の正直となるか

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140キロ台後半のストレートにスライダーやスプリットを投げ込む仲尾次オスカル。Hondaでは中継ぎや抑えでの起用が多い。

WBCブラジル代表にも選出


「今年はこれまでの2回より緊張感があります。今年が1番いい感じだからですかね。波がなく、良い結果を残せています」

 そう手応えを語るのは、白鴎大からHondaに入社し3年目となる仲尾次(なかおし)オスカルだ。大学卒業時、そしてドラフト解禁となった社会人2年目と、いずれもプロを志望しながら、ドラフト指名はなかった。

 ブラジル・サンパウロ州に生まれたオスカルは、レストランバーなどを経営する父の影響で6歳の頃から野球を始めた。両親、祖父母は全員日本人で、ブラジルで生まれ育った姉2人とオスカルがブラジル国籍を持つ。

 ブラジルでは日系人のコミュニティを中心に野球が盛んな地域もあり、これまでNPBでは、広島や巨人で中継ぎとして活躍した玉木重雄や、ヤクルトで活躍し先日現役引退を発表した松元ユウイチらがブラジル出身の選手としてプレーしている。また白鴎大では、これまでもブラジル人選手を積極的に受け入れており、オスカルも大学入学と同時に来日した。

「来日当初は、言葉や文化に戸惑うことばかりでした」と話すオスカルだが、今では日本語に不自由はない。

 大学時代は、関甲新学生リーグ新記録となる通算28勝を挙げ、社会人1年目にはWBCブラジル代表として日本戦にも登板した。

 左腕から放たれる140キロ台後半のストレートを中心に、スライダーやカーブ、チェンジアップに昨年から覚えたスプリットも武器となっている。

高い向上心と吸収力


「人間性は申し分ないです。郷に従うこともできましたし、向上心にも溢れていて、みんなから好かれていましたね」

 白鴎大で4年間指導にあたった藤倉多祐監督が、オスカルの人間性にそう太鼓判を押す。その上で「4年の時は責任感や向かっていく気持ちが強すぎることもありました」と話す。

 だが、そうした部分も社会人球界屈指の強豪であるHondaに入社し3年。徐々に変わってきた。

「真壁賢守コーチ(※東北高時代にダルビッシュ有とともに活躍)や、甲子園を制している筑川利希也(東海大相模でセンバツ制覇)、福島由登(大阪桐蔭で選手権制覇)といった技術や知識に長けた先輩から様々なことを吸収していきました」と長谷川寿監督も目を細める。

 これまでは力んで体が開いてしまうことも多かったが、「力を抜いた上で腕が振れるように」という長谷川監督のアドバイスもあり、今夏の都市対抗後は好投を続けた。

 前述した新球・スプリットも、握りを投手1人ずつに聞いて、自らに合うものを探した結果、習得して物にするなど向上心に溢れている。

3度目の正直なるか


 ふとした出来事をヒントにし、きっかけを掴むこともある。

「ある時、車を運転しながらたまたまつけていたラジオで藤川球児さんがインタビューを受けていました。そこで話していた試合の入り方がとても勉強になりました」

 藤川同様中継ぎや抑えでの起用が多いオスカルは、常に同じストレッチやアップで試合に入っていたというが、藤川の話を聞いて以降は、「下半身に疲れが溜まっていたらアップを長めにするなど、日によって登板までの流れを変えています。以前は調子を気にしすぎていましたが、今はその日の状態でベストを探れるようになり、もっと楽に考えられるようになりました」と笑顔で話す。

 こうしたこれまでにない手応えを持って、10月22日のドラフト会議を待つオスカル。

 今も国際電話で頻繁に会話するという両親に吉報を届けることはできるのか。運命の時が近づいている。


仲尾次オスカル 1991年3月28日生まれ。ブラジル・サンパウロ州出身。カントリーキッズ高〜白鴎大〜Honda。178cm76kg。左投左打。