舞台挨拶に立った仲代達矢

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 渋谷の駅前で主人の帰りを待ち続けた忠犬ハチの実話を基にした映画「ハチ公物語」(1987)が10月15日、京都で開催中の京都国際映画祭で上映され、主演の仲代達矢がよしもと祇園花月での舞台挨拶に出席。当時の撮影秘話を惜しげもなく披露し、客席を大いに喜ばせた。

 原作・脚本は「映画女優」の新藤兼人、監督は「旅路 村でいちばんの首吊りの木」の神山征二郎、撮影は「きみが輝くとき」の姫田真佐久が担当した本作。オファー当時の様子を聞かれた仲代は、「当時はまだ売れておりまして、台本が3冊か4冊来て、その中で『これをやりたい』という、傲慢な、ぜい沢な映画出演を続けておりました」と振り返る。そして「実は動物はあまり好きじゃなかったんです」と苦笑いを浮かべたが、「新藤兼人さんと神山監督がとても素晴らしかったので、ぜひやらせて頂こうと決めました」と経緯を明かした。

 また、“助演男優”ともいえる秋田犬ハチ公との共演については、「ひざをぽんぽんと叩くと、綱を引かないでもついてくる。そうなるまで、約20日間訓練しました」と告白。訓練風景を聞かれると「初めは全然言うことを聞かないんです。そうしたら犬の先生が、『四つんばいになってください。それで一緒に遊んでいると、だんだんなついてきますよ』と。20日間泥だらけになって、ハチ公と遊んで、やっと慣れてきました」と嬉々として語り、「立ち上がっても横についてきたときは、嬉しかったですね。それでかわいくなりました」とほほ笑んだ。

 本作は、同年の邦画配給収入ランキングで第1位に輝き、2007年にはリチャード・ギア主演で米ハリウッドがリメイク。仲代は「私の娘は、当時クラスであまり人気がなかったんですが、『お父さんの映画見たよ』ということで、人気が出ました」と明かし、「30年前の映画ですから、仲代達矢もずいぶん若かったんだなあと思います。40年くらい続く演劇塾(無名塾)をやっていますが、若い連中が昔の映画を見ると『あれ、仲代さんですか!? あんな若い時があったんですか』と。失礼な!」と笑い飛ばし、場内を沸かせていた。

 一方で、現代の俳優たちに対する苦言も。かつてはラッシュ映像でしか演技の出来栄えを確認できなかったが、「今の俳優は、ワンカット終わって『ちょっと見せて』と言って(その場で)小さいモニターを見て、『もう一度撮らせて』というのは、昔の俳優にはありえなかった。すべて監督に任せるんです」。技術の進歩を称賛しながらも、「便利でいいかもしれませんが、質の問題でどうなのかなとは思います」と見解を述べていた。

 京都国際映画祭2015は、10月18日まで開催。