マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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ファウルゾーンの打球をフェンスに衝突しながらジャンピングキャッチ

 マーリンズイチロー外野手は13日(日本時間14日)、本拠地でのナショナルズ戦に「1番・ライト」で先発出場し、4打数1安打。チームが0−5と完敗した中、2013年のサイ・ヤング賞右腕マックス・シャーザーからヒットを放ち、メジャー通算2931安打としてMLB歴代単独35位に浮上した。

 ただ、この日の最大の見せ場は守備であった。

 2回1死、相手打者のラモスの飛球が右翼線へ上がった。ファウルゾーンへと切れていく打球を追ったイチローがジャンプする。最後は体をフェンスにぶつけながら、一塁側後方のスタンドまでギリギリの場所に落ちてきた打球をキャッチ。スタンドから大歓声が沸き起こった。

 11日(同12日)のナショナルズ戦では、同じような場所に飛んだ打球を追い、フェンスに激しく衝突。その時は捕球できなかった。マーリンズ・パークのファウルゾーンのフェンスは高く、この日は特に打球が高く舞い上がったこともあり、難易度の高いプレーだった。

2日前には激しく衝突も「体とは思っているよりも強い」

 11日のプレーで何か収穫があったのかと聞かれたイチローは「ない」と言い切った。ただ、2日前にフェンスに衝突した時には、左肩をグルグルと回すなど気にする素振りを見せていたにもかかわらず、この日は影響を全く感じさせずにファインプレーを披露。ここに、イチローのプロ意識の高さが凝縮されていた。

「痛くないから何もない。ぶつけたからといって痛いとは限らない」

 同じようなプレーで負傷する選手は決して少なくないが、イチローは「それは日々のことだから」とサラリと言ってのける。

「どうやって体を作るとかいうのは、そういうことも含まれている。体とは思っているよりも強いと思っている」

全体練習が休みでも1人フィールドでストレッチ、「考え方がそもそも違う」

 このワンプレーのために、周到な準備を整えていた。この日はナイター明けのデーゲームだったため、全体練習はなかったが、試合開始前の午前11時43分にクラブハウスからフィールドに一人飛び出した。

「お疲れ様です」

 ベンチ前で報道陣に声をかけると、外野までゆっくりと走った。フィールドに横たわり、股関節など全身のストレッチとランニングを交互に約10分間行った。その後、地元ファンのサインのリクエストに応じて、ダグアウトに戻った。41歳の現役メジャー最年長野手は、驚異的な柔軟性の源となる準備をしっかりと済ませていた。

「考え方がそもそも違う。他(の選手)とは比べられない」

 この日のフェンスへの激突は2日前ほど激しくなかったが、難易度の高いジャンピングキャッチを成功させた上に怪我1つしないレジェンドの凄みは、どんな日も欠かさない準備にある。