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日立製作所の子会社である日立メディコは9月11日、超電導MRI装置の冷凍機の故障とその原因を事前に検知する新たな保守サービス「Sentinel Analytics」の提供を10月1日から開始すると発表した。

同社では従来、IoTシステムである「Sentinelカスタマーサポート」を利用し、装置の各種センサーデータに閾値を設定した上で超電導MRI装置の冷凍機の状態監視を行っていた。しかし、閾値判定では故障予兆の把握が数日前になり、故障発生後に交換修理を行う事後保全となる場合があり、MRI装置を使用できないため検査が実施できなかったほか、緊急修理による保全コストが増加していたという。

同サービスは、故障発生の数ヵ月前に故障の予兆を検知できるため冷凍機が故障する前に計画的に部品の修理・交換が可能で、故障を回避する予知保全を実現できる。例えば、技術者の経験・ノウハウに基づくデータ分析では検知が難しかった微量な液体ヘリウムの減少を、いち早く検知することができ、故障予兆診断が可能となる。

同サービスを試験的に導入した結果、導入前に比べてMRI装置が故障により使用できない時間(ダウンタイム)を16.3%低減した。また、同サービスは日立製作所の「Global e-Service on TWX-21 故障予兆診断サービス」と「Pentaho」の2つの診断アルゴリズムを活用。

Global e-Service on TWX-21 故障予兆診断サービスは独自のクラスター分析技術に基づく診断アルゴリズムを活用し、機器の異常状態を早期に検知することができ、機械学習技術を応用して機器ごとの正常状態のセンサーデータを学習させ、個別に診断。装置の特性や設置場所の違いによる使用状況の差異などを加味した診断が可能で、故障の予兆を検知できる。

Pentahoは2006年からサービスを開始しているSentinelカスタマーサポートの長年の運用で蓄積したビッグデータを活用して分析し、各種故障原因をパターン認識により検知。なお、Sentinel Analyticsは日立メディコが利用するサーバのソフトウェア更新のみで導入できるため、超電導MRI装置でSentinelカスタマーサポートを利用している顧客であれば、標準でSentinel Analyticsの故障予兆診断サービスが適用されるという。