種田陽平が手がけた「ステラと未来」

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 日本を代表する映画美術監督の種田陽平が描いた児童向け書籍「ステラと未来」(税別1500円)が、9月10日に発売された。原案と絵(文は野山伸)を手がけた種田が、同書に込めた思いを映画.comに語った。

 同書は、「みずから輝く星」と名づけられた少女・ステラの旅立ちと、「これから来る時間」という名の少年・未来の勇気を描いている。「タワー」の349階で暮らす髪の長い痩身の少女は、「ママ」と呼ばれる養育ロボットに育てられ、これまでタワーを出た事がないという設定。灰色のか細い棒のような少年は、何もかもが氷で出来ている薄暗い世界で、たくさんの「おとうさん」に育てられている。期せずして「ドーム」に乗り、湖に招かれた2人を待っていたものは……。

 岩井俊二監督作「スワロウテイル」、三谷幸喜監督作「THE有頂天ホテル」、是枝裕和監督作「空気人形」、李相日監督作「悪人」など数多くの話題作のほか、国際的な活躍を続けている種田は現在、クエンティン・タランティーノ監督の最新作「THE HATEFUL EIGHT」の美術を担当している。また、アニメの世界観を実写映画のセットのように巨大空間に再現したほか、100点以上におよぶ美術資料を展示した「思い出のマーニー×種田陽平展」が大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。

 種田は、同書について「読むものも見るものも演出過剰、刺激たっぷりでわかりやすい作品が世の中の主流。その傾向は今後いっそう強まるだろう。このたび、児童向けにつくった書籍『ステラと未来』からはそんな過剰さをそぎ落としてみた。結果、とても『静かな本』になったと思う」と話す。これまでの仕事を通して、子どものために作品をつくる経験値を高めてきたといい、「特に『思い出のマーニー』で美術監督を務めた経験が大きかったかもしれない。実写映画美術の仕事と違い完成形が全て二次元の絵だったし、主人公の少女のスケッチ画を担当したから。そういった経験から今回、この本のために40点におよぶ絵の描き下ろしをすることもできたのです」と明かした。

 タランティーノ監督の新作「THE HATEFUL EIGHT」の仕事で米国滞在中、週末に描いていたそうで「その時の気分も絵によく乗っていると思う」と説明。そして、「子どもの頃から本が好きだった。これはどういうことだろう、どういう意味だろう、とクエスチョン・マークが頭に浮かぶ本が特に好きだ。答えを自分でゆっくり探していくことができるミヒャエル・エンデの『はてしない物語』、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子さま』、宮沢賢治の一連の作品です。手元において、ときどき読み返す。そんな1冊にこの『ステラと未来』もなってくれたらとても嬉しい」とコメントを寄せている。