ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

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8回6安打1失点の快投、448日ぶり2ケタKに「TanaKKKKKKKKKKa」

 ヤンキース田中将大投手は8日(日本時間9日)、本拠地でのオリオールズ戦に先発し、8回6安打1失点1四球と快投。今季初の2ケタとなる10奪三振をマークした。圧巻のピッチングにも、打線の援護はアレックス・ロドリゲス内野手の30号ソロホームランによる1点にとどまり、勝敗はつかず。12勝目はならなかったが、圧巻の奪三振ショーを見せた日本人右腕は地元メディアから三振を意味する「K」にちなみ、「TanaKKKKKKKKKKa」と絶賛されている。

 ただ、チームは9回に登板した左腕シュリーブが強打者クリス・デービスに決勝の41号ソロを浴びて、1−2で痛恨の敗戦。田中の好投も虚しく、首位ブルージェイズとのゲーム差は「1・5」に開いた。

 ESPNは速報記事で「ア・リーグ東地区首位に上がるチャンスとともに、ヤンキースはマサヒロ・タナカからエース級のパフォーマンスと、アレックス・ロドリゲスの歴史的なホームランがあった。だが、それが全てだった。レッドソックスとともに地区最下位タイだったオリオールズに勝つのに十分ではなかった」と伝えた。

 今季は「エースにあらず」と厳しい論調でニューヨークメディアに指摘されることの多かった田中だが、この日は「エース級」という言葉を引き出す快投だった。ハンク・アーロンのメジャー記録に並ぶ15度目のシーズン30本塁打を達成したAロッドと共に、辛辣な地元メディアはそのパフォーマンスを高く評価している。

まい夫人の妊娠公表後初の登板で好投も「ほぼ援護を受けられなかった」

 さらに、昨年6月17日のブルージェイズ戦以来となる448日ぶりの2ケタとなる圧巻の10奪三振を「TanaKKKKKKKKKKa」の見出しで表現した寸評では、日本人右腕の力投を絶賛。

「タナカは今夜、シーズン最多の10三振を奪い、オリオールズを6安打に抑えた。うち2安打は内野安打で四球は1。8回をきっちり、わずか104球で抑えた。レッドソックス相手に(打線が)12点を叩き出した前回登板や、9点の援護を受けたアトランタ・ブレーブス戦のようにはならず、彼は打線からほぼ援護を受けることができなかった。そして、1−1のままマウンドを去った」

 このように、ここ数試合で大量得点に援護されていた田中が、この日は見殺し状態になったと指摘。田中が5回の先頭打者デービスを四球で出すまでパーフェクトピッチングだったこともレポートしている。

 一方、地元紙「ニューヨーク・デイリーニュース」は「ヤンキースはマサヒロ・タナカの珠玉のピッチングを台無しにし、オリオールズに1−2で敗れる」と特集。ニューズデイ紙も「マサヒロ・タナカは好投したが、敗戦のヤンキースで援護を受けられず」との見出しで報じた。いずれも、好投の田中は不運にも見殺しにされたと伝えている。

 まい夫人の第一子妊娠公表後、初登板で快投を見せた田中は4試合ぶりにハイ・クオリティスタート(7回以上を投げ、自責2以内)を達成。防御率は3・57と向上した。