佐藤嗣麻子監督

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 篠原涼子主演でバツイチ、子持ちで大酒飲みながら検挙率No.1の女刑事・雪平夏見を主人公にした「アンフェア」は、2006年1月に連続ドラマとして産声をあげた。それから10年。シリーズとして歴史を積み重ね、劇場版第3弾「アンフェア the end」でエンディングを迎えようとしている。「アンフェア the special ダブル・ミーニング」シリーズ以外の全脚本を手がけ、今作のメガホンをとった佐藤嗣麻子監督に話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)

 10年間をかけて「アンフェア」シリーズを育ててきたといっても過言ではない佐藤監督は、現在の心境を「複雑ですね。もうこのキャラクターたちに会えなくなるというのは寂しいですが、やっと終わったっていう心境もあるんです。常にアンフェアが頭の隅にあって、一緒に暮らしていたみたいな感じもするので、やっと考えなくて済むという気持ちもあります」と吐露。脚本執筆時は、「随分長い間、キャラクターを作ってきているので、頭の中でキャラがしゃべっているのを写している感じなんですよね。実際に声が聞こえているわけではないんですが、なんとなく感じていて、頭ではあまり考えていなかった」という。

 それでも、今作の脚本が完成するまでには紆余曲折があったようで「当初は“ドンパチ”するような、もう少し大きな話を考えていたんですよ。ただ、そうやっているうちに、もうちょっと愛の話に集約したい、プライベートな話にした方が『アンフェア』っぽいとなったんです」と述懐。そして、「1年半くらいかけて開発したのに、プロットも100稿以上書いていたんですが、全部破棄したんです。そこから2週間くらいで今回の本を書いたんです。1年半の積み重ねがあったので、どうしたらいいのか頭にあったからこそ2週間で書けたのですが」と豪快に笑った。

 佐藤監督にとって、“相棒”ともいえる篠原の最大の魅力はどこにあるのか聞いてみると「涼子ちゃんは天才的というか、ひらめき型の人なので、見ていると面白いですね。『ああ、こういう風に解釈するのか』とか、『こうきたか!』という楽しみがあるんですよ。常にこちらの予想を上回った演技をしてくれるので、演出していて楽しいですよ」とニッコリ。シリーズが幕を閉じるが、いま篠原にメッセージをおくるとしたら、どんな言葉が出てくるのだろうか。

 「『アンフェア』で培ってきたものを、全部ぶっ壊して次にいって欲しいなあって感じています。でも、また一緒にやりたいですね。もしやるとしたら、雪平ではない別の役で。終わったものにいつまでもこだわっているっていうのは好きじゃないんで、すべて破壊したり破棄して先に進んでほしいかな」。

 現在は、10月からフジテレビ系で放送される松坂桃李主演ドラマ「サイレーン(仮)」の脚本に取り掛かっている。今後、映画で撮ってみたい題材があるといい、「ずっとやりたいと思っているものはあります。昔の映画って、残酷なシーンとか平気だったじゃないですか。でも最近だと、観客の皆さんは見慣れていないんですよね。映画の良さって疑似体験できることだと思うんです。私はそれが好きで、悲しみにしろ、痛みにしろ、自分が経験できないことを体験できるのが醍醐味だと思って育ったのですが、いまの人たちは安心して見たいようなんですよね。私はもうちょっとRの上の方の作品をやってみたいと思っています。予算が出るかわかりませんが」と笑ってみせた。