厳選!2歳馬情報局(2015年版)
【第14回:ルフォール】

 毎年、3歳クラシックの栄冠を手にする馬がいる一方で、勝ち馬に及ばなかったり、レースに出ることさえできなかったりして、涙を飲む馬が数え切れないほどいる。しかし、そういった馬たちでも、やがて父、母となって、その子どもたちが、親の果たせなかった夢をかなえることがある。

 今年デビューする2歳馬の中にも、「母の雪辱」とばかりにクラシックを目指す馬がいる。ルフォール(牝2歳/父キングカメハメハ)である。

 ルフォールの母は、2004年〜2007年まで現役として活躍したレクレドール(牝/父サンデーサイレンス)。同馬は、現役時代に重賞2勝(ローズS、クイーンS)を挙げて、競走馬としてそれなりの成功を収めたが、3歳クラシックには縁がなかった。

 というのも、レクレドールがデビューしたのは、年が明けて3歳になってからの、2004年3月20日。始動が大きく遅れてしまったため、同年4月のGI桜花賞(阪神・芝1600m)や、5月のGIオークス(東京・芝2400m)といった牝馬クラシックには間に合わなかったのだ。

 それでも、デビュー後は徐々に力を発揮して、秋にはGIIローズS(阪神・芝2000m)を制覇。3歳牝馬による最後のGI秋華賞(京都・芝2000m)には、駒を進めることができた。が、本番では3番人気の評価を受けながら、6着に沈んだ。結局、同馬は引退するまで、GIの舞台で輝くことはなかった。

 そんなレクレドールが生んだ子が、ルフォールである。ルフォールの育成が行なわれたのは、ノーザンファーム空港牧場。担当した伊藤賢氏は、春の取材の時点で、すでに高い期待を口にしていた。

「ルフォールは、何も言うことがないですね。気性面、走りのバランス、折り合い、すべてにおいて優等生で、悪いところは見当たりません。この馬の能力は高いと思いますし、現時点での完成度も、トップクラスです」

 育成段階の動きから、その評価が日に日に増していったルフォール。同時に、活躍を期待させる十分な血統背景を持つ。ルフォールの兄にあたるベルーフ(牡3歳/父ハービンジャー)は、今年1月のGIII京成杯(中山・芝2000m)を制覇。3歳牡馬クラシックのGI皐月賞(12着。中山・芝2000m)に出走した。

 また、母レクレドールは、今年2月に亡くなったステイゴールド(牡/父サンデーサイレンス)の全妹でもある。ステイゴールドと言えば、国際GIの香港ヴァーズ(香港・芝2400m)を勝ち、種牡馬としては、オルフェーヴルやゴールドシップといった一線級の馬たちを輩出している。現代の日本競馬を支える、優良な"家系"といっても過言ではない。

 牝馬というと、繊細だったり、馬体が細かったりという苦労も多いが、ルフォールには、その心配はないようだ。先述の伊藤氏が続ける。

「ルフォールは、どっしりとしていて、牝馬らしからぬ印象ですね。体型も最初の頃からガッチリとできていて、調教を積んでも、馬体が減る心配はありません。走りにおいては、キレ味よりもパワーが優っている印象でしょうか」

 なお、ルフォールが所属するのは、美浦トレセンの堀宣行厩舎。今年の3歳クラシックで二冠(皐月賞、日本ダービー)を獲ったドゥラメンテをはじめ、活躍馬を多数送り出している"トップチーム"である。この点も、クラシックへ向けては心強い。

 デビュー予定はまだ決まっていないが、母が臨めなかった3歳クラシックの舞台へ向けて、「優等生」ルフォールは今、じっくりとエネルギーを溜め込んでいる。

河合力●文 text by Kawai Chikara