「削除要請4500曲で対応は250曲だけ」SoundCloud、英国の著作権団体に訴えられる

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ドイツに本拠を置く音楽共有サービス SoundCloud が、英国の音楽著作権団体 Performing Rights Society for Music (PRS for Music)に訴えを起こされました。

PRS for Music は、SoundCloud と5年ほど前から交渉をしてきたにもかかわらず、いまだ所属するアーティストの楽曲使用料が支払われず、4500曲におよぶ楽曲の削除要請にもわずか250曲ぶんしか応じなかったと主張しています。
 
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一方の SoundCloud は「PRSが交渉をやめて訴訟を起こしたことは残念で、そのアプローチはどこにも利益をもたらさないだろう」とコメントしました。

PRS for Music は過去にも、すでにレコード会社との契約を締結している YouTube に対して権利を主張し、一時英国でミュージックビデオの再生を遮断させたことがある団体。アーティストのために印税を徴収するのが主な業務で、所属アーティストの数はここ数年急増しています。

SoundCloud は2008年のサービス開始以来、誰でも自作の楽曲やサウンドをアップロードできるいわばYouTubeのサウンドクリエイター版とも言えるサービス。プロを目指すミュージシャンにとっては良い楽曲を公開してファンを獲得するため、プロなら製作中の楽曲のデモをアップしてファンの反応を見るため、そして、掃いて捨てるほど作りすぎてしまった楽曲を覆面アカウントで公開し、自分のアカウントでそれを褒めてみるといった奇行のためにも使える総合的な音楽交流プラットフォームとして機能してきました。

多くのユーザーとファン、そしてアーティスト/クリエイターから支持され、まさに「クリエイターによるクリエイターのためのプラットフォーム」として機能してきた SoundCloud ですが、やはりユーザーが増えれば、意図するしないにかかわらず著作権を侵害する作品も増えてしまっていました。

また SoundCloud はレコード会社や権利団体と楽曲の使用に関する契約を結んでおらず、ロイヤリティの支払いが行われないため、レコードレーベルなど権利者の要請によって楽曲が削除されるケースが頻発していました。

これらの問題を受け SoundCloud は2014年に広告モデルを導入した「On SoundCloud」を開始。3大メジャーレーベルのひとつワーナーミュージックとも契約を締結しようやく問題解決に向けた動きを活発化するも、今年5月にはソニーミュージックが権利を所有する一部の楽曲を削除する事態になるなど、権利にかかわる問題の複雑さは SoundCloud を悩ませています。

ちなみに、覆面アカウント "user48736353001" で SoundCloud に楽曲をアップロードしていた Aphex Twin ことリチャード・D・ジェームスは、この5月にアカウントを "user18081971" に切り替え、いまもせっせと未発表曲をアップロードしている模様です。



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