首相官邸ホームページより

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イギリスの左派系、保守系は安倍談話をどう報じたか

 安倍首相の「戦後70年談話」が発表されました。ギリシャや英仏海峡トンネルでは、不法移民と地元民が、鉄パイプで殴り合いをしており、移民をどうやって葬り去るかで、EU加盟国同士はガチなバトルをしているので、談話も何もどうでもいいという感じですが、安倍談話に関して、アメリカサイドの反応の話ばかり報道されているので、今回は、ヨーロッパ側の反応をお届けします。

 まずは、動物の権利保護と違法移民を保護することが大好きで、購読者減少で潰れそうになっている左派新聞『The Guardian』です。ここはジャーナリストをレイオフし、一般民向けにブログ講座などをやってなんとか小銭を稼いでいるようですが、原発と鯨を食べる人々が嫌いなので、基本的に日本が嫌いです。そういうわけで、いつものように安倍談話をボコボコです。

(日本の首相、新しい世代は戦争に関して謝罪し続ける必要はない)安倍首相のスピーチは、第二次大戦への深い謝罪を示したが、現在日本の人口の80%は戦後生まれなので、戦争中の重荷を背負う必要はないと述べた

(日本の天皇、第二次世界大戦に関して、安倍よりも謝罪するトーンをかます)日本の天皇は、第二次世界大戦の敗戦70周年において、深い自責の念を表明した。表面を撫でたにすぎない様な以前の意見に比べると深い謝罪である。安倍は「最大の悲しみ」と述べたが、将来の世代は過去の過ちに関して謝罪し続えるべきではなく、自身の言葉による謝罪はなかった

 移民が大嫌いな年金生活者が購読している右翼新聞『Daily Mail』は、「移民氏ね!」記事が絶好調なので、経営は安定です。ここも基本的に東アジアは嫌いですので、東アジア人同士が殴り合いするネタは大好きです。今回も、靖国神社、反日運動する韓国の人々、保守系議員の写真などを丹念に貼り付けて報道しています。

(日本は対日戦勝記念日70周年に、首相が自国が「計り知れない苦しみ」を与えたと認めたが、永久に謝罪する必要はないといったので大炎上)安倍は日本は第二次世界大戦でひどいことをしたと認めたが、将来の世代は謝罪し続ける必要はないといったので、中国と韓国が、お前はずるいといって激怒

 最近日経に買収されてしまった『Financial Times』は、ジャーナリストが「ネマワシ」とか、名刺の渡し方の練習に忙しいようですが、安定の反日報道です。日本企業に買収されたというのに、玉砕覚悟なんでしょうか。

 安倍首相のスピーチは、「日本が謝罪する姿勢を維持しつつも、国粋主義のトーンに沿って、その方向性と謝罪の内容を急激に変えつつある」と報道しています。

(安倍晋三は戦争への謝罪の姿勢を維持するが、謝罪の方向性を急激に変更した)戦後70周年の記念すべきスピーチにおいて、安倍は、日本が謝罪する姿勢を継承したが、西洋の植民主義へ反対するためだった、という、より国粋主義的な考え方に沿って、その方向性を変えた。中国のメディアは安倍のスピーチは後退であると批判した。スピーチにおいて従軍慰安婦のことは触れられなかったが、韓国、中国、フィリピンの数千に及び女性が、第二次世界大戦中に日本軍により、性的奴隷として強制的に働かされた

『Daily Telegraph』は保守的なお金持ちが読む新聞で、購読者には高齢者が少なくない為、太平洋戦争中に捕虜になった人の思い出話の報道には熱心ですが、安倍談話にはそれほど興味がないようです。

(日本、降伏70周年を迎える)安倍首相、戦犯が祀られている神社へ儀式的な奉納を行った為に、中国と韓国は怒りを表明した

独仏伊は概ね天皇陛下と安倍首相のスピーチの相違を報道

 ヨーロッパは国が多いので、すべてをカバーしきれませんが、大半の国での報道は、似たような傾向です。安倍首相と天皇陛下のスピーチの相違をハイライトし、安倍首相は将来の世代は謝罪の必要がないこと、中国と韓国は怒っていることを報道しています。

イタリアの『24Ore』

(安倍首相、日本は過去を繰り返さない)太平洋戦争終結70周年を記念するスピーチにおいて、安倍は、「植民地主義」「侵略」「謝罪」などかつてであれば使用を懸念された言葉が使われたが、中国や韓国、そして国内を納得させることはできなかった

フランスの『El Pais』

(アキヒトと安倍は日本の戦争における日本の役割に関して袂を分かつ)第二次世界大戦終結70周年のスピーチにおいて、安倍は謝罪を表明したものの、謝罪し続ける必要はないと述べた。一方で、日本の王は、深い自責の念を表明した

ドイツの『Deutsche Welle』

(日本は第二次大戦の犠牲者を記憶している)第二次世界大戦終結70周年のスピーチにおいて日本の天皇は、深い自責の念を表明した一方で、右派保守系の安倍首相は、戦没者を祀る神社に参拝した。スピーチにおいて安倍首相は謝罪したものの、将来の世代は謝罪し続ける必要はないと述べた。中国は謝罪が十分ではないとしている

 さて、各国似たり寄ったりの報道ですが、今回は、記事に寄せられているに大変興味深いものがあります。

 例えば、『The Guardian』には、2015年8月16日の時点で、698のコメントが寄せられています。そのコメントの少なからずが、

「日本は謝罪する必要はない」
「アメリカが原爆を落としたことのほうが酷い」
「連合国も謝ってない」
「謝るより前向きなことをやった方がいい」

 というものだったことです。

報道への一般人コメントは日本への同情で溢れかえる!?

 サイトを見にくるような読者は、鯨を守りたい左派の人が少なくないのですが、日本嫌いな左派が少なくない同紙でも「日本の謝罪、そろそろいいんじゃないの?」という意見が少なくありません。コメントを見る限り、ネトウヨが何か工作しているようにもみえません。以下は目立ったコメントの抜粋です。

ThirdEye さん

ドイツ人は自己の極悪な歴史に対する姿勢が熱心で素晴らしいね。日本人もすぐにドイツのようになるし、トルコ人もそうなるだろうね。(注:トルコ人によるクルド人やアルメニア人の虐殺を指している)イタリア人はメッセージを受け取ったね。例の列車(注:イタリア人もナチに協力し、ユダヤ人を強制収容所行きの列車に乗せた)がどこに向かっているか自覚してなかったみたいだけど

Malcolm Brown さん

つまり、日本は降伏することをオファーされていたのに、その後で、広島と長崎で原爆で大量虐殺をやった国は、日本の深い謝罪を受け入れるわけだよね。でも、第二次世界大戦に関わった連合国や市民は、深く謝罪することを拒否してる上に、彼らは、人命を救ったと嘘をついている

Monday1 さん

ISISのほうがやっていることは、スケールは小さいにも関わらず、日本が第二次世界大戦でやったことよりより遥かに酷いんだけど、今の日本人のほとんどが存在しなかった時に起こったことに対して謝罪することを気にしている人が多いようだ

Methodkill さん

謝罪して何が達成される? ドイツ人がユダヤ人に対して、イギリス人が帝国に対して、もしくは、アメリカ人がネイティブアメリカンに対して。。。何も変わらないし、政治家がそうしなくちゃならない様強制されているか、そう感じているだけの気がする。謝罪よりも、過去の虐殺が将来起こらない様にする方が良い気がする

『Daily Mail』の記事には、170あまりのコメントがあり、「モーガン・フリーマンの孫が路上で刺殺される」という記事のコメント数に勝っています。

 同紙は、東アジアが大嫌いな右翼系読者の多い媒体なのにも関わらず、日本を擁護する意見が少なくありません。日本の捕虜だった身内がいる、保守系の老人読者が少なくない新聞なので意外です。日本のやったことに怒っている人もいますが、それよりも、前に進むべきだ、アメリカの方がひどいと怒っている方が少なくないようです。以下は、最も支持数の多かったコメントです。

Johnさん(Peterboroughより)

日本人は永久に謝り続ける必要はない。今生きている世代や力がある世代は、あの戦争に責任がない。イギリスは過去の植民地支配と奴隷貿易に関して謝罪し続けるべきか? もちろんその必要はない。過去から学んで前へ進もう。謝り続ける必要はない。単なる意味がない見出しだよ

f.clarkeさん(chesterfieldより)

アメリカから、原爆を落としたことに関する謝罪は期待できない。なら、今のアメリカ人だって、原爆を落としたことに責任があると言えない

『Financial Times』には94あまりのコメントが投稿されていましたが、他の媒体と同じく日本を擁護する意見が少なくありません。

EdoRoshiさん

中国は、毎年、しつこく粘りまくっている。戦争は終わった。前に進め。中国が攻撃するから、日本の再軍備を促したんだ

 なぜこういう日本擁護のコメントが出てくるのかと驚かれる方がいるかもしれませんが、基本的に、ヨーロッパでは、日本は「人畜無害」の国だからです。

「日本はマトモな国、もう許してあげたら?」

 一般人に直接被害を及ぼすような国ではありません。「直接被害を及ぼす」とは、例えば、移民として貧乏人が大量にやってくるとか、地元の建物を買い占めて値段を釣り上げるとか、地元民の仕事を奪うとか、無料で地元の福祉を受けようとするとか、そういう意味です。

 さらに、日本の人々や会社は、取引相手としては至極マトモなので、悪い印象を持っている人は少数派です。観光客も行儀がよく、ホテルを破壊するとか、ものを盗むとか、路上でタンを吐きまくるとか、そういう人は皆無なので、印象は良いです。ただ、過労死とか、給料が安いとか、休みがないということは知っているので、日本の会社では働きたくないと思っている人が多いです。

 ヨーロッパは現在、某新興国のお金持ちによる歴史的建造物を含めた不動産の買い占め、傍若無人な観光客の振る舞い、アフリカ・中東・南アジアからの不法移民の急増を芳しく思ってない人が多く、そういう「どうしょもない国」に比べると、日本はハッキリいってマトモな国なので、もう許してあげたら、という心情なのでしょう。

 一方で、自国がやってきた過去の極悪犯罪の数々はよろしくないと思っている人が多いですし、アメリカ嫌いな人は多いので、原爆を落とされた日本に同情している人が少なくありません。

 ちなみに「お前、反日なのに、今回は何書いてるんだ」と思っている方がいるかもしれませんが、私が怒っているのは、コピペデザイナーとか、過労死とか、ブラック企業とか、天下りのことであって、別に反日というわけではありません。

著者プロフィール

コンサルタント兼著述家

May_Roma

神奈川県生まれ。コンサルタント兼著述家。公認システム監査人(CISA) 。米国大学院で情報管理学修士、国際関係論修士取得後、ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経てロンドン在住。日米伊英在住経験。ツイッター@May_Romaでの舌鋒鋭いつぶやきにファン多数。著作に『ノマドと社畜』(朝日出版社)、『日本が世界一貧しい国である件について』(祥伝社)など。最新刊『添削! 日本人英語 ―世界で通用する英文スタイルへ』(朝日出版社)好評発売中!

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