厳選!2歳馬情報局(2015年版)
■第12回:レーヴァテイン

 3歳のサラブレッドが、世代の頂点を競うGI日本ダービー(東京・芝2400m)。3歳クラシックの頂点に位置し、出走するだけでも「栄誉」とされるこのレースだが、実はその舞台に、我が子を再三送り込んでいる繁殖牝馬がいる。レーヴドスカーである。

 レーヴドスカーの産駒は、これまで7頭が日本でデビューした。その中で最も活躍したのは、2008年生まれのレーヴディソール(牝/父アグネスタキオン)だ。同馬は、デビューから3連勝で2010年のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を優勝。翌年のGIIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)でも圧勝劇を披露した。その後はケガに悩んだものの、彼女の見せたパフォーマンスは、ファンに強烈な印象を残した。

 レーヴドスカーの子は、それ以外の馬たちも立派な活躍を見せている。何より、彼女が生んでデビューした牡馬4頭は皆、ダービー出走を果たしているのだ。

 2006年のダービーに出走したナイアガラ(17着。牡/父ファンタスティックライト)を筆頭に、GII青葉賞(東京・芝2400m)を勝利して、2009年のダービーで5着入着を果たしたアプレザンレーヴ(牡/シンボリクリスエス)、2010年のダービーに駒を進めたレーヴドリアン(11着。牡/父スペシャルウィーク)、そして、兄アプレザンレーヴに続いて青葉賞を勝ち、2015年のダービーに挑んだレーヴミストラル(9着。牡3歳/父キングカメハメハ)である。繁殖牝馬として、4頭の子をダービーに送り込むのは、驚異的といっていい。

 そんな"偉大なる母"レーヴドスカーが生んだ牡馬が、今年もデビューを控えた2歳馬の中にいる。レーヴァテイン(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 早くから高い期待が先行してきたレーヴァテイン。同馬の育成を行なったノーザンファーム空港では、「とにかく、丁寧に育成を進めてきた」という。担当した高見優也氏は、その過程を春の時点でこう語っていた。

「育成初期の頃は体が小さかったので、適度な調教と休みを繰り返しながらここまできました。何より血統がいいので、ゆっくり成長を促しながらやってきましたね。デビューは秋か冬くらいになるでしょうが、この馬は決して焦らず、とにかくゆっくりやっていきたいです」

 ダービー出走を目指すうえでは、デビューがあまり遅くなるのは好ましくない。出走権利につながる賞金獲得のチャンスが少なくなるからだ。しかし、この血統の場合は、兄4頭すべてが12月という遅めのデビューからダービー出走を果たしている。その実績と、血統への信頼があるからこそ、焦らずゆっくり育成を行なってきたと言えるだろう。

 さらに、レーヴァテインを語るうえでは、「父ディープインパクト」という項目も欠かせない。母レーヴドスカーはこれほど活躍馬を出しながら、リーディングサイアーであるディープインパクトの子は同馬が初めて。驚異の繁殖牝馬と、日本最高峰の種牡馬が配合されて生まれたのが、レーヴァテインなのだ。それだけに、期待はどうしても高まる。

 父ディープインパクトの面影についても、育成の中でスタッフは感じているようだ。前述の高見氏が続ける。

「レーヴァテインの馬体はコンパクトで、身のこなしの柔らかさはウチの厩舎で一番かと思いますね。タメたらしっかり伸びるような感触があります。父ディープインパクトのよさが、きちんと出ていますね。距離に関しては、兄たちと同じく(2000m以上の)長いところが得意なのではないでしょうか」

 母レーヴドスカーと父ディープインパクトの間に生まれたレーヴァテイン。間違いなく国内屈指の血統を持つ同馬は、兄たちに続いてダービーの舞台に立つことができるのか。そして、兄の果たせなかったダービー制覇を成せるのか。まずは、デビューを迎える日をじっくりと待ちたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara