東北対決で敗れた花巻東・佐々木監督、「勝たせてあげたかった」

 東北勢初の甲子園制覇を――。

 第97回全国高校野球選手権大会は16日、甲子園球場で3回戦が行われ、仙台育英(宮城)が花巻東(岩手)を4−3で破り、準々決勝に進出した。好ゲームとなった東北対決は1点差で決着がついたが、敗れた花巻東の佐々木洋監督は「(春の)東北大会でも見たけど、スイングスピードが速くなっている。下半身もどっしりしているし、素晴らしい打線だった」と相手の強さに脱帽した。

 特別な思いを持って臨んだ夏だった。

「勝たせてあげたかったです。力はなかったけど、一番練習してきたチーム。春から練習試合も勝てなくて苦しんで、ここまでやってきたので。なんとか勝たせたかった。沿岸部の子も多かったので、その思いはより強かった」

 試合後、指揮官は目に光るものを浮かべながら振り返った。

 エース左腕の高橋樹也は注目を浴びていたが、菊池雄星(現西武)や、大谷翔平(現日本ハム)のような“スター”がいるチームではなかった。それでも、選手は地道に力を磨き、聖地への切符を掴んだ。

沿岸部出身の多いチーム構成に「思いは強かった」、「育英さんには是非、日本一になってもらいたい」

 しかも、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸部出身の選手が多いチーム構成。「震災でつらい思いをした選手が多かった」と振られると、佐々木監督は「そういう経験をしたからか、かえって寮生活に積極的に飛び込んできてくれて、久慈や大船渡、いろんな地域の子の頑張りがチームをいい方向に向かせてくれた。だから、勝たせたいという思いは強かった」と話した。

 特別な思いを持って臨んだ夏も、東北勢初の甲子園制覇には届かなかった。だが、東北対決で負けたことで前を向ける。しかも、相手はその強さを肌で感じた仙台育英。指揮官は、東北でしのぎを削ってきた宮城の名門が大きな「夢」を叶えてくれると信じている。

「育英さんには是非、日本一になって帰ってきてもらいたい。こっちもそれを狙ってきたけど、打線を見ると、間違いなく日本一になれると感じた。それを証明するために日本一になってもらうのが、東北としての次の夢ですね」

 皮肉にも、仙台育英は準々決勝でも東北勢の秋田商(秋田)と対戦することが決まった。だが、今年こそ「大旗の白河越え」が叶うと信じている。