もう食べられなくなる!築地場内で並ぶ価値ある名店たち3選

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来年、豊洲への移転が決定している築地市場。昭和35年に建てられた場内の飲食店街も、同時に移転する。全店舗の継続営業が決まっているとはいえ、歴史を感じる雰囲気を味わえるのは今のうち!

4時間待ちも当たり前!場内きっての人気店『寿司大』

現在の築地市場名物といえば、この店の長蛇の列。鮨屋だらけの築地でも、土曜は4〜5時間、平日でも3時間待ちはざらという人気ぶりを誇るのは『寿司大』くらいだろう。

定番の「おまかせセット」は、大トロに始まる10貫に巻物1本、玉子焼き、アラ汁、そして最後に好きなネタを1貫サービス。鮨は食べるペースに合わせて提供され、これで¥4,000という破格値だ。

ときには英語や中国語を駆使しながら客と語らう大将の漆原訓氏も、店の名物的存在。カウンター鮨店らしからぬ明るい雰囲気は「自分自身も毎日楽しんで店に立っています」という漆原氏のキャラクターの賜物。

テンポよく鮨を出しつつ会話を盛り上げるホスピタリティ、いいネタを切らさず提供する努力……すべては「お客さんとの一期一会。その出会いを大切にしたい」という気持ちから。どんなに待った客でも店を出るときはみな、はちきれんばかりの笑顔。訪れれば、それにも納得だ。

朝の身体にじんわり染みる優しいシチューと飾らぬ空気『センリ軒』

味のある雰囲気の老舗喫茶店も、今のうちに訪れたいアドレス。昭和34年に現在の建物ができた当初から営業を続けている数店舗の中でも、料理に定評があるのが『センリ軒』だ。

いつもカウンターの定位置に立つ三代目店主・川島進一氏が、カウンターの定位置から温かく迎えてくれる。おすすめは「スペシャルセット」。コクがありつつ、さらりとした味わいのクリームシチューがとにかく旨い。

「築地は舌の肥えた料理人や飲食店関係者が出入りする場所。手抜きするとバレちゃうから、味にはこだわります」と川島氏。このシチューが、料理人のみならず、仕事終わりの仲買人や夜明けの酔っぱらいの胃袋を、優しくいたわってきたのは間違いない。

店内には、年代もののコーヒー保温器や、常連客が前払いした金額を記した黒板など、歴史を感じさせるアイテムがあちこちに。移転後もシチューの味は受け継がれるが、やっぱり一度は、このレトロな空間の中で味わいたい。

女家族がわいわい切り盛り
プロに愛される魚料理の店『かとう』

築地で働く仕事人からの信頼も厚い和食店『かとう』。壁には店の名物である煮魚をはじめ、刺身、焼き魚、西京漬けなど料理名が記された短冊がずらりと並び、西京漬けだけでも4〜5種はそろうという充実のバリエーションだ。

「銀座の料亭にも負けない」と自信アリの煮魚は、朝一番にたっぷりと仕込むかつおと昆布の合わせ出汁がポイント。下ごしらえした魚を、注文ごとにさっと煮て提供するスタイルだ。皿が置かれた瞬間、鼻の奥まで広がる豊かな香りに期待が高まる。魚の身はきちんと歯応えを感じさせつつほろりとほどけ、煮汁はあっさりした味わいの中に、深い余韻が。さすが、魚のプロたちに愛される一品だ。

店は女将さんを筆頭に、母・叔母・娘が和気あいあいと切り盛り。年季が入っていながらも小奇麗な店内は、さながら人情物語の舞台のよう。

美味しい煮魚と、ほっと和む店の空気を、今のうちに味わうべき築地名物に認定したい。