厳選!2歳馬情報局(2015年版)
【第9回:ダノンスパーク】

 2010年のGI皐月賞(中山・芝2000m)とGI有馬記念(中山・芝2500m)を快勝し、翌2011年には、日本馬として初めてドバイワールドカップ(UAE・AW2000m)を制したヴィクトワールピサ(牡/父ネオユニヴァース)。震災直後の日本に、中東から吉報を届けた立役者は、2011年末をもって現役を引退、種牡馬入りが決まった。そして今年、同馬は新種牡馬として、自らの産駒を世に送り出すこととなった。

 ヴィクトワールピサの初年度産駒となる、現2歳世代。その中から先日、クラウンドジャック(牝2歳)が早くも初勝利を挙げている。今後も、続々と躍進が期待される産駒が控えているが、なかでも高い注目を集めているのが、ダノンスパーク(牡2歳)だ。

 ダノンスパークが注目される理由は、同馬の兄ミッキーアイル(牡4歳/父ディープインパクト)の活躍にある。

 ミッキーアイルは、昨年のGINHKマイルC(東京・芝1600m)を逃げ切って優勝。そこまで5連勝を飾る快進撃を見せた。以降も、短距離、マイル路線の中心的な存在として奮闘。今年のGI高松宮記念(中京・芝1200m)でも、3着と健闘した。

 そんな快速馬を兄に持つダノンスパークは、当然ながら幼少期から期待されてきた。その証拠に、同馬は1歳時のセレクトセール(日本屈指の競走馬のセリ市)で、1億3500万円という高値で取引されている。

 セレクトセールのあと、ダノンスパークはノーザンファーム空港牧場(北海道)にて、デビューへ向けた育成が行なわれてきた。担当した犬伏健太氏は、新種牡馬を父に持つ同馬について、兄との比較を口にする。

「兄のミッキーアイルと比べて、ダノンスパークはふた回りほど大きいですね。セレクトセールの頃から見栄えがすごくよかったです。実際に走らせてみると、兄よりも柔らかい感じがします。とてもしなやかな動きをしますね。性格面では、兄よりおとなしい印象です」

 兄ミッキーアイルの馬体重は、470kg〜480kg台ほど。そして3歳までは、スタートから果敢に飛ばす勝ち気な性格が特徴的だった。一方、弟のダノンスパークは、2歳の春時点で530kgを超える雄大な馬体の持ち主。また、性格的にも、兄ほどスタートからガツンと前に行くタイプではないようだ。この辺りは、父が変わった影響が強いのかもしれない。

 それでも、ダノンスパークの育成を行なっていると、兄弟での共通点を垣間見る瞬間もあるという。犬伏氏が続ける。

「少し速い時計で走らせてみると、ハミ(馬の口にかけた金属製の道具)から伝わる感触には、この血統の"らしさ"を感じます。スピード豊かな兄と同様、短距離戦が得意になってもおかしくないでしょうね」

 育成期間で順調に成長したダノンスパークは、先日、栗東トレーニングセンター(滋賀県)に移動。兄と同じく、音無秀孝厩舎に入厩した。デビューへ向けて、着々とステップを踏んでいる。

 兄にGI馬ミッキーアイルを持つダノンスパーク。ファンはもちろん、関係者からも、新種牡馬ヴィクトワールピサの、初年度代表産駒としての活躍が見込まれている。兄を超え、そして父をしのぐほどの飛躍が果たせるか、デビューのときが待ち遠しい。

河合力●文 text by Kawai Chikara