日本エレキテル連合のふたり 撮影:若林ゆり

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  「ダメよ〜ダメダメ!」で一世を風びした日本エレキテル連合の単独公演第2弾にして全国ツアー公演「死電区間」が7月24日、東京の草月ホールでいよいよ開幕。この公演を前に、起死回生をねらう中野聡子と橋本小雪のコンビに創作の秘密、そして意気込みを聞いた。彼女たちの独創的なコントはからは映画的な感性も感じられるが、実際、映画からの影響もあるのだろうか。

 中野「映画は好きでよく見ますし、刺激を受けることはもちろんよくあります。たとえば前に『黒い家』という映画を見て、その狂気のキマり方がすごいなと思ったんですね。作品の中で大竹しのぶさんや西村雅彦さんが出していた“気持ち悪さ”を表現したくて作ったのが『TSUTOMU』っていうシリーズなんです」

 2人が生みだすコントの独自性は、やはりその異様さにある。「見てくれる人のトラウマになりたい」というその芸風は、どこから来ているのだろう。

 中野「映画の『シャイニング』を初めて見たとき、すごく衝撃を受けたんですね。途中で挿し込まれる意味のわからないカットとかがあるじゃないですか。それを大人になってから、『あれって何だったんだろう!?』って見返したくなったんです。そういう風に、何かちょっと覚えていて『何だったんだろう?』って思うのが、私の場合はいつも気持ち悪いものだったんですよ。だから『何だったんだろう!?』の種を蒔いて、後から掘り起こしてほしい。トラウマってけっこう長く残るものだから。誰かの中に長く残りたくて、そこを大事にしています」

 橋本「私も、黒澤明監督の『夢』という映画を昔、テレビで見て。ストーリーとかはほとんど覚えていないのに、シーンとして頭に残っている映像がある。そういう風に、頭の中に残り続けるようなものを作りたいんです」

 そんな2人がライブにつけた「死電区間」というタイトルには、自分たちの現在を客観的に見ての、さまざまな思いが込められている。

 中野「JRの新幹線は西と東が入れ替わるとき、一瞬、停電するんですね。死電区間というのは、そこのことを指す言葉なんです。これが、ちょうどいまの私たちみたいだなあって思って。去年、朱美ちゃんと細貝さんがいろんな人に知ってもらえて、すごいことになった。で、次に何かやらなきゃいけない、いまはその狭間の死んでいる状態にあるのかなと。それで今回は、人が生きている世界と死んでから行く世界の中間点、狭間の世界を舞台にしているんです。これから生きるか死ぬか、今後を左右する私たちのいまという瞬間をこの舞台で表現しようと思って。生きるか死ぬかという関所に、私たちの作ったいろんなキャラクターがやってくるんです。セットも見ものですよ」

 朱美ちゃんと細貝さんは、大ブレイクすることによって本来の意図とはかけ離れた形に姿を変えていった。本来は18禁ネタであり、「空気人形」のようなもの悲しさや孤独感、シュールな気持ち悪さも満載なネタだったのに。勝手に歪められ、そればかりを求められ、勝手に飽きられた現状には複雑な思いもあるだろう。

 橋本「反応が、“気持ち悪い”から“かわいい”に変わったんです。変な感じでした。最初のころは、反応が悲鳴だったんですよ(笑)」

 中野「飽きられるのもしかたがないって模範解答をしてますが、正直、終わったとか言ってるヤツ絶対許さねえって思ってます(笑)。だから朱美ちゃんは最初に世の中に出した後の、衝撃をもって受け止められたときの反応がいちばん楽しかった。でも先日、朱美ちゃんの衣装と同じ生地を見つけてもらって、ハイレグとマーメイドドレスと浴衣を作ってもらいました。だからまた新たな展開もあると思います。『死電区間』では、朱美ちゃんボンデージに挑戦しますよ。いや、それ以上。お尻も見せます!(笑)」

 2人は約3年前からyoutubeに“感電パラレル”というチャンネルを持ち、毎日、ネタ動画を投稿し続けている。そこで生まれた個性豊かなキャラクターたちが、生死の狭間で客席にスペシャルな衝撃を与えてくれるに違いない。

 橋本「お客さんたちも劇場に入って、自分たちも死電区間に入ったという、そういう気持ちで見てもらえたら」

 中野「お馴染みのキャラが出てくるんですけど、どういう容貌になっているかはわからないですよ。生きているとも言えないし死体でもない、その歪んだ空間でのことですから。ここではお客さんも演者の1人。みなさんには『私も女優よ』くらいの気持ちで楽しんでいただけたらうれしいです」

 「死電区間」は7月24〜26日、草月ホールで上演。以後、大阪、愛知、岡山、福岡、宮城、石川、新潟で上演される。