人間とアンドロイドが共演する「さようなら」

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 劇団・青年団を主宰し、日本を代表する劇作家として知られる平田オリザ氏による戯曲で、人間とアンドロイドが共演する「さようなら」が映画化されることがわかった。「歓待」「ほとりの朔子」などで注目される気鋭の映画作家・深田晃司が監督・脚本を務め、物語の中心となるアンドロイドのレオナ役には、本物のアンドロイドが使われている。

 平田氏は2007年から、ロボット研究の世界的な第一人者である石黒浩氏(大阪大学教授・ATR石黒浩特別研究所客員所長)とコラボレーションし、芸術と科学が交差する「ロボット演劇プロジェクト」を推進。10年、人間とアンドロイドが舞台上で共演する演劇「さようなら」を製作し、その異質な完成度の高さが国内外で話題を呼んだ。石黒氏は、4月から放映中のバラエティ番組「マツコとマツコ」に出演し、そのリアルな存在感が話題となったマツコ・デラックスのアンドロイドも手がけたことで知られる存在で、今回の映画で物語の中心となるアンドロイドのレオナにも、石黒氏が中心となり大阪大学で開発された本物のアンドロイド「ジェミロイドF」を起用した。

 物語の舞台は、原子力発電施設の爆発によって国土の大半が放射性物質に汚染され、政府が「棄国」を宣言した近未来の日本。国民が次々と国外へ避難していく中、外国人の難民ターニャと、幼いころから病弱なターニャをサポートするアンドロイドのレオナは、避難優先順位下位のために取り残される。多くの人が消えていくなか、やがてターニャとレオナは最期の時を迎える。

 メガホンをとる深田監督は、11年に原作となる舞台を観劇し、「その劇空間に満ち満ちた予兆のような死の匂い」に強くひかれたと述懐。「死にゆく人間と死を知らないアンドロイドの対話は、芸術家がこれまで連綿と描いてきた『メメント・モリ(死を想え)』の芸術の最前衛にあるものだと思いました。死へと至る濃密な時間、それと裏返しの生の輝きをスクリーンに刻みつけたい、そんな欲望に私は舞台を前にして震えたのです」と、即座に平田氏に映画化の希望を伝えたという。

 映画については「特筆すべきは、レオナ役を演じたアンドロイドのジェミノイドFさん。彼女は映画初出演でありながらほとんどNGも出さず過酷な撮影にも文句を言わない見事な女優ぶりで、すぐに現場の人気者になりました。ぜひ、彼女の銀幕デビューを目撃してください」と話している。レオナと暮らす主人公ターニャには、舞台でも同役を演じているブライアリー・ロング。ほか、新井浩文や村上虹郎らが共演。15年秋公開。