(左から)石川浩(和紙組合理事長)、犬童一利、石倉三郎、
梅田一宏、吉田ときお

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 俳優、コメディアンとして活躍する石倉三郎が、映画「つむぐもの」で、役者人生50年で初の主演を務めることがわかった。日韓国交正常化50周年を記念し製作される、越前和紙職人と若き韓国人女性の交流を描く人間ドラマで、キム・コッピ(「息もできない」)が共演。7月6日に、撮影地である福井県越前市で製作発表会見が行われた。

 犬童一利監督がメガホンをとる本作は、友好交流都市である福井県丹南地域の「こしの都」と、韓国の扶余(プヨ)郡が舞台。ふたつの歴史ある町並みを背景に、文化や価値観が全く異なる2人が出会い、伝統工芸や老人介護を通じて少しずつ心を通わせていく。

 今年で役者人生50周年を迎え、名脇役として知られる石倉は、ビートたけしとともに浅草での下積み時代を経験し、その後、たけしの冠番組の出演でも人気を博した。初の映画主演作となった本作で、病に倒れたものの、伝統工芸の火を絶やさぬようにと和紙を作り続ける頑固一徹な職人を演じる。

 石倉は、映画初主演について「あらぶる気持ちをどうやって抑えようか」と興奮気味に話し、「日本の伝統の技を表現することは、並大抵のことではない。和紙職人という役を一途に掘り下げていきたい。この役は、頑固でいきたい」と意欲をみせる。また、映画のテーマである「介護」には、「非常に身近な問題。知人の家族が介護をする姿をみて痛烈に感じるものがあった」と語った。

 犬童監督は「決して相まみえるはずのなかった、国籍、文化、性別の違う2人の介護を通して『人と人として、理解し合うことの大切さ』を発信したいです。2人の姿が、今後の高齢化社会を乗り越える、一つのきっかけになれば」と作品へ込めた思いを語る。

 ひょんなことから石倉演じる和紙職人を介護することになる、若い韓国女性役を演じるキムは、この日の会見には出席がかなわなかったが、「両国の間の葛藤と感情は別として、人と人の間に芽生える友情と感情が込められている話を楽しみにしています。いい作品が作られるように頑張ります」とコメントを寄せている。

 福井県丹南地域で8月中旬にクランクインし、9月初旬には、先日世界遺産登録が発表された「百済歴史遺跡地区」の一つでもある韓国・扶余群で撮影が行われる。2016年全国公開予定。