厳選!2歳馬情報局(2015年版)
【第6回:サトノダイヤモンド】

 7月13日、14日と、二日間にわたって開催される「セレクトセール」。国内最大級の競走馬セリ市として名高いこのイベントは、毎年のように、億を超える高額落札馬を出している。今や、国内だけでなく、海外からも高い注目を集めている。

 このセールで高値をつけられた若駒は、当然ながら、その後も大きな期待を背負っていくこととなる。今年デビューを控える2歳馬の中にも、そういった"エリート"がいる。サトノダイヤモンド(牡2歳/父ディープインパクト)だ。

 サトノダイヤモンドは、2013年に行なわれたセレクトセールで2億3000万円(税抜)という高値をつけられた。これは、この年のセレクトセールにおいて2番目に高い金額だった(トップは2億4000万円の値がついた母アゼリの2013年生まれ。父ディープインパクト)。

 当時、生まれてからまだ半年弱だったサトノダイヤモンド。その同馬が高い評価を得た理由は、血統にあると言えるだろう。サトノダイヤモンドの母は、アルゼンチンのGIを3勝したマルペンサ。しかも、そのうちの2勝は、2着を8馬身、9馬身と引き離しての楽勝だった。

 イギリスやフランス、アメリカなどに比べて、アルゼンチンの競馬を目にする機会は多くない。しかし、アルゼンチンと日本の競馬の互換性は高く、実はアルゼンチンで名を挙げた牝馬が、日本で活躍産駒を生んでいるケースが少なくない。

 例えば、今年の牝馬クラシック(桜花賞2着、オークス3着)で奮闘したクルミナル(牝3歳/父ディープインパクト)。その母は、現役時代にアルゼンチンのGIを2勝したクルソラだ。また、現役時代に重賞3勝、2005年のオークスで3着となったディアデラノビアも、母はアルゼンチンのダービーとオークスを制したポトリザリスである。

 そんな背景もあって、マルペンサは現役引退後に輸入され、ディープインパクトを配合。そうして生まれたのが、サトノダイヤモンドである。血統背景を考えれば、生産したノーザンファームの期待が高いのは当然で、だからこそ2億3000万円の金額になったと言えよう。

 それから月日が経ち、デビュー前の育成を行なっても、この馬に対するスタッフの期待度は変わっていない。担当したノーザンファーム空港牧場(北海道苫小牧市)の犬伏健太氏が、同馬についての印象を口にする。

「非常にいい馬ですね。私たちのいる空港牧場の中でもトップクラスだと思っていますし、ノーザンファーム全体で見ても、ちょっと特別な馬だと感じています。春の段階ではまだ成長途上にあったので、もう少し時間をかけて、秋以降にデビューへのステップへと移りたいですね」

 国内でも屈指の規模を誇るノーザンファームにおいて、これだけの評価を受けるとなれば、楽しみは膨らむ。じっくりと成長を待つのも、素質の高さを見込んでのことだろう。犬伏氏が続ける。

「ディープインパクトの産駒は夏に伸びてくることが多いですからね。もう少し成長を待ちたいと思います。性格面では、少し気の入りやすいところは見えましたが、問題になるレベルではありません」

 高額馬だからといって、名馬になれるとは限らないのが競馬の世界。それでも、2億3000万円という値がつけられたサトノダイヤモンドへの期待はいやがうえにも高まるばかりだ。そんな生まれながらの"エリート"は、どれだけの走りを見せるのか。競馬場に姿を現す日を、じっくりと待ちたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara