厳選!2歳馬情報局(2015年版)
【第5回:リュラ】

 華麗な追い込みを武器にして、多くのファンを魅了したハープスター(牝/父ディープインパクト、母ヒストリックスター)。2014年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)を制し、同年の凱旋門賞(フランス・芝2400m)にも挑戦(6着)した"才女"は今春、負傷によって現役生活を退くこととなった。彼女の代名詞とも言える、強烈な末脚がもう見られないのは、非常に残念でならない。が、今年デビューを迎える2歳馬の中に、彼女が果たせなかった夢を託された、妹がいる。

 リュラ(牝2歳/父ステイゴールド、母ヒストリックスター)である。

 ハープスターは、種牡馬リーディングのトップを保持し続けるディープインパクト産駒。対して、リュラの父はステイゴールドとなる。その産駒は、オルフェーヴルやゴールドシップといった気の強い子どもたちが多いが、リュラにもそういった面は出ているのだろうか。

 育成を担当したノーザンファーム早来の日下和博氏は、その点についてこう語る。

「(リュラは)姉のハープスターとは明らかにタイプが違って、なかなか気が強いところがあります。でもそれは、許容範囲です。それに、姉は育成の段階から調教でズルさを見せていましたが、リュラはかなり前向きに調教をこなしています。その辺は、姉よりもいいですね」

 ハープスターとは違った雰囲気を持つリュラだが、もちろん共通している部分もある。日下氏によれば、「背中の可動域は、姉に似ている」とのこと。さらに、姉同様、秘めたポテンシャルは相当なもの。リュラの動きから、それは伝わってくるようだ。日下氏が続ける。

「やはり(リュラには)いいものがありますね。秋のデビューを目標にしているので、春の段階では意識的に調教のペースを上げませんでしたが、動かそうと思えば、いくらでも動きそうでしたから。走り自体も、素軽さがあっていいですね」

 リュラは姉のハープスターと同じく、栗東トレーニングセンター(滋賀県)の松田博資厩舎で現役生活をスタートさせる予定だ。松田調教師は来年2月で定年を迎えるため、必然的に所属もそれまでとなる。

 つまり、3月以降は新たな調教師のもとへ転厩することになるが、それでもリュラを松田調教師に託すのは、同師がこの血統を熟知しているからだろう。リュラやハープスターの祖母に当たり、1993年の牝馬クラシック二冠(桜花賞、オークス)を達成したベガも、管理したのは松田調教師だった。

 まだデビュー前だが、リュラに託された当面の目標は、松田調教師の定年前となる、12月のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)制覇である。日下氏も、「松田先生にとって最後の年になるので、そこを目指したい」と、意気込みを語る。

 ハープスターを姉に持つリュラは、定年前となった名伯楽のもとでどんな競走生活を送るのか。秋のデビューが待ち遠しい。

河合力●文 text by Kawai Chikara