気になるのは7月1日ではなく、7月2日以降である。

 U―22日本代表が7月1日に行うテストマッチのメンバーが、6月22日に発表された。手倉森誠監督が発表したのは21人で、あと2選手を追加で招集するという。

 3月下旬に行なわれたリオ五輪アジア1次予選は、チームの二極化を印象づけた。守備陣が所属先でポジションをつかんでいる一方で、2列目とFWは所属先で出場機会を得られていなかったのである。

 J1、J2がシーズンのほぼ半分を消化した現在も、状況はほとんど変わっていない。むしろ、守備陣にも所属先での立場が後退している選手がいる。J1でポジションを確保できる選手は、かなりの少数派となっている。

 それまで戦ったことのないタイプという意味で、北中米カリブ海地区のU−22コスタリカは対戦相手として悪くない。ただ、コンディションでアドバンテージのあるホームゲームの結果を、額面どおりに受け取れるわけにはない。

 手倉森誠監督は「色々なトライをさせたい」と話す。指揮官の言葉が結果に結びついたとしても、チームが前進したとは結論づけるのは早計だ。現実的には3月以降の空白期間を埋めるための試合である。最終予選への予習というよりは、これまでの復習という位置づけだ。

 それだけに、気になるのはU−22コスタリカ戦後の強化だ。

 1次予選終了後、手倉森監督は「まずは自チームでポジションを取るために必死にやってほしい」と選手の奮起を促しつつ「7月のテストマッチと、12月の合宿はありますけど、選手が集まる回数を少し要求しなきゃいけないかなと」と話している。来るU−22コスタリカ戦の次は、大会直前の12月の合宿まで活動が組まれていなかったからだ。

 6月22日の記者会見を受けて、10月の国内合宿とJ3への参戦が明らかになった。今後行われるJ3リーグのうち5試合に、JリーグU−22選抜をU−22日本代表に模して戦うという。

 7月1日のU−22コスタリカ戦後、J3リーグは19試合が行われる。それなのに、U−22日本代表のメンバーが集まるのは5試合だけである。決して多い数字ではない。むしろ、少ない。

 U−22日本代表候補のほぼ全員は、J1かJ2のクラブに在籍している。J1かJ2のどちらかはJ3とリーグ日程が重なり、重ならないとしてもJ3の前日か翌日に試合がある。U−22日本代表の招集をクラブ側に求めるとしても、5試合が限度なのだろう。

 その5試合にしても、どこまで選手を集めることができるか。

 たとえば、U−22日本代表でキャプテンを務める遠藤航は、所属する湘南ベルマーレでポジションをつかんでいる。サンフレッチェ広島所属の浅野拓磨と野津田岳人も、主要なサブメンバーだ。チーム側からすれば、簡単に招集を受け入れられないだろう。スタメン出場やメンバー入りが微妙な選手にしても、ケガ人や出場停止が出れば所属先での立場が変わることもある。

 そう考えると、J3リーグへの選手の招集は、多くの不確定要素を含んでいる。JリーグU−22選抜との明確な違いを打ち出せるのかは、率直に言って疑問だ。

 来年1月のリオ五輪最終予選は、16か国が3つの出場権を争う。グループステージを突破し、決勝トーナメントで3位以内に入らなければならない。若年層の大会や手倉森監督指揮下での戦いぶりから判断すれば、日本の優位性は薄い。

 強化スケジュールは埋まってきたが、予選突破にはまだ足りない。