厳選!2歳馬情報局(2015年版)
第4回:ポルトフォイユ

 1987年にデビューして以来、競馬界のさまざまな記録を塗り替えて、数多くのGIタイトルを手にしてきた武豊騎手。そんな"名手"にとって、非常に関わりの深い血統馬がまもなくデビューする。

 ポルトフォイユ(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 同馬の血統をたどると、現役時代、武豊騎手とともにビッグレースを制した名馬たちの名がズラリと並んでいる。

 父は「史上最強馬」の呼び声高いディープインパクト。2005年、武豊騎手が手綱をとって、無敗で三冠(皐月賞、ダービー、菊花賞)制覇という偉業を成した。その衝撃的な強さは、競馬ファン以外からも注目され、一種の社会現象となった。

 母のポルトフィーノは、武豊騎手が騎乗してデビュー2連勝を飾った。その後は、気性面で課題を抱えて大舞台で結果を残すことはできなかったものの、素質の片鱗は随所に見せていた。逸話となっているのは、2008年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)。スタート直後につまずいたポルトフィーノは、騎手のいない「カラ馬」となりながらも、そのまま走り続けて先頭でゴールしたのだ。

 その母の母、つまりポルトフォイユにとって祖母にあたるのが、歴史的な名牝エアグルーヴ。1996年にGIオークス(東京・芝2400m)を制して3歳牝馬の女王に君臨すると、翌1997年には、牡馬一線級を相手にGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)を快勝。その時代の競走馬の頂点に立ち、「女傑」と称された。もちろん、両レースとも鞍上を務めたのは、武豊騎手だった。

 そして母の父、ポルトフォイユの祖父となるクロフネもまた、武豊騎手とのコンビで名馬の階段を歩んだ一頭だ。2001年に、NHKマイルC(東京・芝1600m)、ジャパンカップダート(東京・ダート2100m)と、芝とダートのGIを勝つ快挙を遂げた。

 まさにポルトフォイユの血統は、武豊騎手が関わった名馬ばかり。それだけに、武豊騎手自身、同馬には注目しているという。そしてもちろん、それほどの血統馬ゆえ、育成に携わってきたスタッフたちの期待も大きい。担当したノーザンファーム早来の横手裕二氏は、ポルトフォイユの成長過程についてこう語る。

「ひとつ上の兄(ポルトドートウィユ/牡3歳)に比べて、最初は少し体つきが幼かったんですが、春を迎えて、たくましくなってきました。調教もこなせるようになり、こちらの抱くイメージに追いついてきましたね。体はメリハリがついて、背中も柔らかいです。これから、さらに変わっていきそうです」

 まったく同じ血統を持つ兄ポルトドートウィユは、まだ重賞タイトルこそ得ていないものの、昨年6月のデビューから安定した走りを披露。今年5月には、武豊騎手とともにGI日本ダービー(12着。東京・芝2400m)へと駒を進めた。

 そんな兄と比較して、ポルトフォイユはまた違った特徴を持っているようだ。横手氏が続ける。

「(ポルトフォイユは)柔らかさがありながらも、乗ったときの印象はパワフル。兄が持っていたような素軽さと違って、こちらは"トルク"がありそうです。加えて、最後にガンッと弾ける、ディープインパクト産駒らしさも持っています。体つきは、ポルトフォイユほうが、少し背が低くて幅がありますね」

 武豊騎手が兄の手綱をとったのは5戦目からだったが、弟のポルトフォイユとは初戦からコンビを組む。デビュー予定の舞台は、6月28日の2歳新馬(阪神・芝1800m)。はたして武豊騎手は、自身と縁(ゆかり)ある血統を持つこの若駒と、どんな物語を作っていくのか。偉大なる親族たちにも劣らぬ活躍を期待したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara