「大阪維新の会」公式HPより

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 橋下徹大阪市長は6月18日に行われた維新の党の記者会見での席上、市役所に出勤していないとの指摘を受け、「大阪市長職をサボっている」という批判について真っ向から反論した。

 だが、橋下市長悲願の「大阪都構想」否決で市長の影響力低下が著しい市役所では、この反論を冷ややかな目でみている。大阪市課長代理・A氏(40代・男性)が市役所内の声をこう明かす。

木曜から月曜までお休みして何をしてるのか?

「市長お得意の『民間では……』という基準なら、週のうちほとんど市役所にやって来ないというのはどうなのか。百歩譲って、いくら休む権利があるといっても木曜日から土日を挟んで月曜日まで市役所に登庁しない日が目立つ。市のHPを見てもらえればわかるが、やたらと“公務日程なし”が多い。サボリとの批判は免れないでしょう?」

 事実、A氏がいうように大阪市HP内の「これまでの市長の日程」には「公務日程なし」という記述が目立つ。今年6月に入ってからは10日以上、そう記載されている。住民投票が行なわれた5月は16日間も公務日程がなかったが、つまり市役所への登庁はしていないということだ。

「住民投票否決後、市長はその職責をまっとうすべく今年12月までの任期を勤めると仰った。本来、政治・行政の世界では引退を表明した段階で行政の停滞を避けるべく次の市長にバトンを譲るのが常識です。『もう辞める』と表明した市長の言質は信用できないからです。それでも居座るのには何か理由があるからです」(A氏)

 では、橋下市長が今年12月まで市長職を続ける理由とは何か。A氏は「あくまでも推測の域だが」と前置きし、次のように市役所内の声を語った。

市長任期満了前の「分限免職」を恐れる職員たち

「辞めるまでに市長は、本当に嫌いな職員を分限免職、つまりクビにすることを考えているのではないか。“大阪都構想”は1万票差の僅差で否決されたものの、否決後の記者会見でもわかるように市長は完敗したとは本心からは思っていない。辞めてもなお影響力を残す。市役所内ではそうみています」

 公務員は身分保障されており、よほどのことがなければその職を失うことはないとされている。だが実際はそうでもない。公務全体の機能を維持するため公務員の職を解かれることもある。いわゆる「分限免職」だ。2012年に大阪市の音楽職採用職員が橋下市長がこの分限免職での解雇をちらつかせたことはまだ記憶に新しいところだ。

「先の都構想住民投票結果をみると、大雑把にいえば大阪でも生活保護受給世帯の多い区が反対。それ以外は賛成です。中央区、西区、中央区、浪速区などの富裕層や30歳代迄の若者世代が多いところでは可決されています。だから仮に職員を分限免職しても支持が得られると思っているのではないか。都構想に反対した各区も『生活保護受給の打ち切り』が怖いからこその『反対』だったわけで、市職員の首切りには賛成でしょう。それを狙っているから、今年12月までの任期まっとうなのでしょうね」

 政界引退後もなお大阪市政に影響力を残しかねない橋下市長を大阪市職員はどう迎え撃つのか。

市職員の秘策は「カジノ反対派」のたきつけ

 A氏は、先の住民投票で“都構想”実現時「湾岸区」となるはずだった西淀川区、此花区、大正区、港区の4区が反対多数だった例を挙げ次のように語った。

「これらの各区は“カジノ反対”の意思表示という見方もある。実際、カジノをされると民間のパチンコ店などのレジャー産業各社が潤わなくなる。だから、その点を住民に丁寧に説いていく。誰しも“飯のタネ”を脅かされるのは辛いだろうから」

 大阪住民投票では、生活保護受給者に「生活保護受給打ち切り」を暗に匂わせ大阪市の温存を図った市職員だが、今度は憎き天敵“橋下市長”の影響力を削ぐために「民間の賭博業者」をたきつけるという。かくも官僚機構は強大なり。橋下市長といえども敵は大きすぎたか。

(取材・文/川村洋)