photo via flickr

写真拡大

 高級デパート「三越伊勢丹」の社員を騙った女性による詐欺事件が注目を集めている。

 埼玉県警に詐欺容疑で逮捕されたのは、埼玉県所沢市に住む「伊勢丹」元従業員の容疑者(51)。調べでは、2010年ごろから、三越伊勢丹ホールディングスの会員サービスへの入会をうたって知人から金銭を詐取していたという。

「同級生や近隣の住民をカモにしていた。集めた金額は累計で数億円に上るともいわれている」(捜査関係者)

詐取した金は美容整形代に

 容疑者は1992年まで約10年にわたって「伊勢丹」に勤めていたが、周囲には退職の事実を告げずに社員を装って信用を得ていた。?悪事?は、2012年に被害者が三越伊勢丹に連絡を取ったことで一度は明らかになった。

 その際には被害者側との示談が成立し、警察沙汰になることはなかったが、再度犯罪に手を染めたことで悪運も尽きた。

「集めた金は高級エステ通いや美容整形代などに消えた。自宅マンションには、大量に購入した化粧品の山が毎週のように届けられ、宅配ボックスが溢れかえるほどだったという話だ」(全国紙社会部記者)

 そんな容疑者が犯罪をエスカレートさせた背景には、「三越伊勢丹」に勤務する夫の存在があった。

「知人に詐欺話を持ちかける時には、夫の名刺をちらつかせたりもしていたようだ。3年前に詐欺行為が明るみに出た後は、夫が社内で責任を取らされ、そのことを気に病んで仕事が手につかなくなっていた」(先の捜査関係者)

 自らの欲望のために伴侶までをも利用するーー。

 そんな容疑者の?猛女?ぶりを示すかのように、夫は自身のフェイスブックにこんな書き込みをしている。

「我が家は、嫁のノー家事デー(不定期)が宣言されると、自動的に飲んで帰るシステムです」

 詐欺行為が露呈した後の2013年には夫名義の自宅マンションが競売にかけられ、最近では別居状態にあったという。

 容疑者と夫が通っていたという居酒屋の店主は、夫婦の異様な関係を示す光景を目撃していた。

「(容疑者は)自分の旦那のことを『こいつ』呼ばわりし、旦那が酔いつぶれてもお構いなし。問わず語りにぶつぶつ独り言を言っていたから不気味だった。旦那とは違う男を連れて飲みにくることもあった」

 その夫は妻の横暴に振り回された挙げ句、4月に自宅からほど近い公園のそばに止めた車の中で練炭自殺を遂げている。

「夫にかけられた3000万円の生命保険をちゃっかり受け取っている。ほとんどは被害者への返済に充てられたが、そのうち百数十万円を散財している。夫の体内からは森田容疑者が購入した睡眠導入剤が検出されており、そんなこともあって、警察はその死に疑いを向けていた。実際、自殺幇助の疑いで逮捕されたが、結局処分保留となった」(先の捜査関係者)

 強欲な詐欺女の心の闇が明らかになるのはこれからだ。

(取材・文/浅間三蔵)