結果でファンを説得


圧倒の菅野、共感の内海。

1年ほど前、そんな記事を書いた記憶がある。
当時は巨人ファンの間でも、菅野の力は認めつつもエースはまだ内海推しが多かった。
気持ちはわかる。内海哲也はファンの共感を呼ぶ投手だ。
2軍で苦労して、監督からニセ侍なんて揶揄されながらも、腐らず投手陣のリーダーまで上り詰めた。
あの頼りなかった痩せっぽちのサウスポーが、いまや若い投手陣の良き兄貴分。
その長い年月やドラマを、内海とファンは共有している。

対する菅野は、最初から凄すぎていまいち感情移入ができない状態。
1年目からローテのど真ん中に君臨し、2年目には最優秀防御率のタイトルとセリーグMVP獲得。
「原辰徳の甥っ子」という好奇の視線を圧倒的な実力でねじ伏せてみせた。
それが、3年目の今季は少し違う。
防御率1.55とリーグトップを走りながらも、常に相手エースとぶつかり6勝5敗と勝ち越しは1つ。
今は圧倒というより「説得の菅野」だ。
投げる度にファンを説得している。
説得に成功すると、人は納得する。
「あいつが真のエースだ」と納得するわけだ。
仮に試合に敗れても、あいつで負けたなら仕方がないと思わせる選手。
エースやクリーンナップには常にそういう絶対的な存在でいてほしい。

背番号7へファンが求めるもの


だから、最近の長野久義には寂しさを感じる。
開幕から3カ月弱、長野のプレーには共感もしなければ説得力もない。
まるで引退間際のベテラン選手のような淡白なプレー。
もちろん、昨オフに手術した右肘と右膝の状態はいまだ万全ではないだろう。
だが、ファンは背番号7が試合に出続けている限り期待してしまうわけだ。

長野の入団から5年間の通算安打数は767安打。
これは長嶋茂雄(元巨人)763安打、青木宣親(元ヤクルト)744安打を抑え、日本人選手としては歴代最多安打となる。
現代の天才バッターが、プロ6年目の今季は打率228・5本塁打・16打点と不振に喘ぐ日々。
それでも原監督は頑なに長野を起用し続けている。
リーグ戦再開となった19日の中日戦では、6月2日以来の1番スタメン出場。
見事期待に応え、4打数3安打3得点1打点と今季2度目の猛打賞を記録した。

早いもので長野も30歳になった。
今の巨人は、坂本勇人が4番に座り、菅野智之がエースとして奮闘し、澤村拓一も新クローザーとしてチームを支えている。
「チームの土台」が20代中盤の彼らに代わりつつあるリアル。
2015年は阿部・村田・内海からの世代交代の1年として、人々の記憶に残るシーズンになるはずだ。
果たして、30歳の長野はベテラン陣から取って代わる側か?
それとも、大田泰示や橋本到の若手選手にポジションを奪われる側か?

ここ数年、背番号7のプレーは「安定」していた。
だけど、今こそ安定ではなく、ファンを圧倒して納得させてほしいんだ。
今季残り76試合。
その一戦一戦が、長野久義の未来を左右することになるだろう。

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