アリ・フォルマン監督

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 「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督が待望の新作「コングレス未来学会議」をひっさげ来日を果たした。「惑星ソラリス」の原作でも知られるポーランドのSF作家スタニスワフ・レムによる小説を大胆に脚色。俳優が絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを映画に“出演”させることが可能になった近未来のハリウッドを舞台に、キャリアの岐路に立たされたロビン・ライト(本人)が巨額のギャラと引き換えに、契約を結ぶ。

 「『アバター』が世界的な成功を収めた現在、生身の俳優が本当に必要かと言われれば、そうとは限らないかもしれない。それ以上に感じるのは、映画監督の役割が急速に変化しているということ。かつては撮影現場で、各分野のプロフェッショナルが流麗な映画言語を用いて、魔法の瞬間を生み出していた。一方、現在はポストプロダクションこそが主戦場だ。シネコンの台頭による映画鑑賞のイベント化も、生身の芸術性を危機にさらしている」

 ライトをはじめ、ハーベイ・カイテル、ポール・ジアマッティら名優が共演する実写パートと、手書きによる線画6万枚以上で紡がれる色鮮やかなアニメーションが融合する構成は、現実社会とネットの狭間でアイデンティティを模索する現代人の心理を映し出している。「特に若い世代は多すぎる選択肢を前に、混乱している。お気に入りのアイコンに、自分自身を投影し、真正面から人生を見つめるのが難しい時代になった」(フォルマン監督)

 現在、アレハンドロ・ホドロフスキー監督がかつて映画化を断念したSF大作「DUNE」の製作に意欲を燃やしている。「実現はまだ先になりそう」というが、打ち合わせのためにホドロフスキー監督とも対面。貴重なツーショット写真を披露してくれた。また、アンネ・フランクによる「アンネの日記」を題材にした新作アニメーションにも着手する予定だ。「最後は人間が勝利すると信じている」。フォルマン監督が見据える“未来”はあくまで楽観的だ。

 「コングレス未来学会議」は6月20日から新宿シネマカリテほか全国順次公開。