土屋礼央の「ざっくり聞くと」(第7回)〜かわいいだけじゃ済まされない ペット業界の裏話〜
土屋礼央(司会):土屋礼央の「ざっくり聞くと」、第7回は「ペット業界」を取り上げます。最近のペット業界は、なにやらざわついているみたいなので、ペットを全く飼った事がない僕だからこその素朴な疑問も聞いてみたいと思います。

 今日は、動物(ペット)の里親制度の普及活動を行っている一般財団法人「Do One Good」理事・松原賢さんにお話をうかがいます。

 松原さん、よろしくお願いします。

松原:よろしくお願いします。

土屋:まず最初に、「Do One Good」さんはどういった活動をされているんですか?


松原: 何らかの事情で捨てられたり、飼い主のいない犬や猫の、新しい飼い主さんを探すお手伝いをしています。

 飼い主さん探しの場を「譲渡会」と呼ぶのですが、青山、恵比寿、横浜、駒沢で開催しております。

◆ペット業界は、拡大しているの?縮小しているの?

土屋: ちなみに素朴な質問なのですが、ペット業界って、今右肩上がりなのですか? それとも衰退気味なんですか?

松原: 業界自体は、大きくなっています。ただし、不安要素が多いのも事実です。

土屋: それはペットを飼う世帯が増えているという事ですか?

松原: 飼う世帯が減っていて、飼われる頭数も減っているということが一番大きい不安要素です。

土屋: なのに業界は大きくなっているというのはどういうことですか?

松原: 高度医療とか、1頭の犬や猫のために飼い主が使う金額は増えているので、業界の規模は大きくなっているんです。

土屋: 高度医療とは、極端な話、どんな医療ですか?

松原: CT撮るとか、心臓手術とか。人間並みの医療行為を動物にも行うことができるようになっていて。

土屋: これって、保険効かないですよね…。

松原:ペットには人間のような公的保険がありません。ペット保険に加入する飼い主さんも増えていますが、各社のメニューによって保険適用の範囲が変わります。

土屋: なるほど。医療にもお金がかかっているんですねぇ。

松原: 医療にもかかりますし、犬猫のためにできるサービスが増えているので。犬や猫を癒してあげるとか、以前はそういう発想自体が無かったですよね。

◆ペット虐待は犯罪 最大200万の罰金も

土屋:質問なのですが「雨の日にダンボールに入った子猫が…」って、あるあるな場面ですけど、捨てるのって犯罪なんですか。

松原: 犯罪です。捨てると100万円以下の罰金です。みだりに殺したり傷つけた場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金ですね。

 でも、炎天下に放置するとか、川に流してしまうとか、田舎のほうに行くとそんなに珍しいことではないんです。やっている人も、そんなに悪いと思ってやっていない場合もある。「野良猫が庭で子供産んじゃって」というのが「庭に落ち葉がたまっちゃって」と同じくらいの感覚なのかもしれません。

 だから最近は、猫は不妊・去勢して完全室内飼育しなきゃいけないという風になりつつあります。野良猫に餌をやる人もいますが、京都など不適切な餌やり禁止の条例ができているところもあります。

土屋: ペット国内市場規模が1兆4400億円らしいのですが。これって、凄いお金が動いてますね! 年間でペットにかけるお金の平均って、どれくらいなんですか?

松原: 犬猫だけで合わせて2000万頭いるので、平均するとそこまで大きな金額ではないのかもしれませんが、15歳以下の子どもよりも数は多いですからね。

 1頭に100万円以上使う家庭もある一方、東京都が以前に行った調査によると、犬1匹あたり、えさ代、病院代、予防注射代、美容室代などを合わせて平均で年13万円程度の支出というのが平均だそうです。

土屋: 一ヶ月1万円なんですね。これならペットを飼うのもハードル下がるかも!

松原: でも、もっと使っている飼い主さんが実際には多いと思います。郊外で、庭に繋がれて、病院にも行ったことがない犬の費用との平均なので…。

土屋: 都内だと、どれぐらいかかる感じですか? 服とか着せてますけど…。

松原: フードだけで、月に1万円以上使ってる人も少なくないと思います。

 ペットフードも今は原材料にこだわったプレミアムフードが増えていますし、誕生日ケーキやおせち料理もあります。服は抜け毛を拡散させないため、という社会に配慮した意味もあるんですが、まあ、飼い主さんが「可愛い!」と思うから、というのが一番の理由でしょうね。

 他に、ペットの国内市場規模が大きくなった要因の1つでもあるんですが、様々なサービスが増えています。例えば、留守中に預かってくれるシッターさんや、しつけをしてくれるトレーナーさんなどですね。ペット保険の会社の調べでは、犬にかける費用は年間36万円、猫は18万円だそうです。

土屋: ペット用のプールも見た事ありますが…どんどんペットがセレブ化してませんか?

松原:運動はさせたいけれど、犬の足腰に負担がかからないようにと、ハイドロセラピーといってプールでトレーニングさせることもあります。

 でも、二極化しているのかもしれませんね。子どもが居ない都市に暮らしているご夫婦が飼う飼い方と、田舎でおじいさんやおばあさんが飼う犬の飼い方と全く別という。一口に犬とか、ペットとかくくれないなと感じています。